サンクトペテルブルグからヘルシンキ~さらばロシアよ、また来る日まで

旅行中って、やたらと健康的な生活になりませんか?

普段は夜型であまり動かず、下手したら一日一食なのに、旅に出ると早寝早起き&よく歩く&ご飯が美味しいからちゃんと3食食べるという生活になるため、もりもり元気になります。

身体も引き締まるし、もうずっと旅していたい。

アラームもなしで目を覚ますと時刻は6時半。カーテンの隙間からのぞいた外は暗く、窓下の路地をグレーのコートを着た男性が足早に歩いていました。

今日は列車でヘルシンキに戻る日だけど、出発は11時25分だから急いで起きる必要はありません。

体調を崩した連れはまだ寝ているし、二度寝することにしました。

次に目覚めた時には8時少し前でした。のんびり準備して10時にはホテルを出ます。

チェックアウトにあたっては、カギと連絡用にもらっていた携帯を部屋の中に置いていくだけでいいと初日に言われていました。

宿泊料は前払いしているので、結局ホテルオーナーのドミトリーさんと話をしたのはチェックインの時だけでした。昼間に私たちが出かけている時にお風呂やトイレの掃除をしているのだろうけど、従業員らしき人は一度も見かけなかったです。かなり人件費を節約できているんだろうなと思いました。

とはいえ、困った時にはいつでも電話してと言ってくれたし、ホテルの中はどこも清潔で、気持ちよく滞在できました。

部屋を出る時に、日本から持って行った和紙の折り紙で鶴を折って、お礼の手紙を添えて机に置いてきました。

後日、ドミトリーさんから来たメールに「君のくれた素敵な鶴を大事に飾ってるよ!」と書かれていて、トゥンク・・・とトキメキました。クマさんみたいなロシア男だけど乙女なのよね。ホテルのインテリアも可愛かったしな。

ホテルが見つけづらいのと、お風呂&トイレが共同というのが人によっては気になるかもというのがデメリットかなと思います。

でもツイン一泊が3000円くらいで、一人頭1500円と考えると、設備もおもてなしも良すぎて申し訳ないくらいでした。

サンクトペテルブルグにお泊まりの際は、 El Rooms Apartments Hotel へ!

El rooms - An affordable cosy hotel in the very heart of Saint-Petersburg

ホテルの公式サイト(英語)です。ここからも予約できますが、日本の海外ホテル予約サイトからももちろん予約可能です。私はBooking.comを利用しました。

El Rooms Apartments (ロシア サンクトペテルブルク) - Booking.com

Booking.comのEl Rooms Apartments Hotelのページです。1件だけある日本語の口コミが私です。他の口コミを見ると、ロシア人の利用客が多いみたい。10点満点評価の9.6という、かなりの高評価が付いています。

しかし一つだけ、このホテルというか建物に関して「これはアカン」と思ったことがありました。

それがこれ。

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コンクリの壁に直で穴をあけて、コンセントはブラーンとぶら下がってるし、コードは絡まりまくり。ぐっちゃぐちゃのタコ足配線とか、もうそういう次元の話じゃない。

なんかあってどうにかなったら、いっぺんに電気関係おじゃんでしょ・・・

ただまあ、ほんの数日とはいえロシア人気質に触れてみると、何かトラブルが起きたとしても、それはそれで気にしないORどうにかするんだろうなーと思いました。

とりあえず、滞在中に問題が起きなくてよかった。多分こうやって「今日大丈夫だったから明日も大丈夫」的に先送りにされてきたんだろうな・・・

さて、カギを置いて外に出たら忘れ物をしても取りに戻れないので、自分の荷物と相手の荷物を確認しあってダブルチェックしてからホテルを出ました。

地下鉄1号線の駅Площадь Восстания(プローシャチ・ヴァスターニャ)までは歩いて5分。すっかり慣れてもう目をつぶったって行けるぜなどと、調子に乗った罰が当たったのでしょう・・・

フィンランド行きの列車が出る鉄道駅の最寄り地下鉄Площадь Ленина(プローシャチ・レーニナ)まで2駅のところ、おしゃべりしてて車内アナウンスを聞き間違え(これもまた中途半端に言葉が聞き取れるがゆえの油断。緊張していた初日のように駅の数を確認していたら間違えなかったはず)、1駅で降りてしまったのです。

地上に出てから気がつきました。もう一度地下鉄に乗っても良かったんですけど、早めにホテルを出たので、列車の時間まで1時間以上あるし、今いる場所からまっすぐ歩けば駅があるのも分かっているし、ロシア最後の日だから散歩がてら歩いて行くかということになりました。

これ、結果的に間に合ったからよかったのですが、1駅の区間が思ってたより長くて、けっこうギリギリになってしまいました・・・日本の地下鉄と同じ感覚じゃいけませんね。さすが広大な国土を誇るロシア。

そのぶん珍しいものが見られて得したと言えなくもないけど、連れはかなりハラハラしてましたね。正直すまんかった。

道路には雪が残っていましたが幸い天気に恵まれ、歩いていて気持ちいい。

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ネヴァ川に突き当たったところで左折、リチェイニィ橋で対岸へ渡ります。

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橋までがけっこう距離があって、この辺りから焦りはじめます。

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街並みは可愛いが、

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なかなか橋までたどり着かない。

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対岸にはフィンランド駅の尖塔が見えているのに・・・列車の時間が迫る。

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右手奥に橋が見えてきました!

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橋を渡っていると前に軍人さんらしき集団がいたので、こっそり撮ってしまった。

サンクトペテルブルグに滞在中、とにかく街中に軍人と警察官がウロウロしてるのを見かけました。他の国ではあまりそういうことがなかったから、当初は少しビビってたけど、すぐ慣れてしまいました。こうやっていろんなことに慣れていくのは良し悪しだなと思いつつ。

もし彼らが振り返って写真を撮ってるのがばれたら銃殺か即連行される恐れがあるため、実はかなり遠くからズームで撮ってます。個人を特定できる写真ではないけど、無断で撮るのはよくなかったですね、反省。

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橋の途中にある、橋げたの中のメンテナンス施設に出入りできる階段。は、入りてぇ!

リチェイニィ橋は跳ね橋なので、そのための設備を収納しているようです。

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ネヴァ川は広い。夏にはクルーズができるから、今度は船に乗ってみたいです。

橋を渡りきったところに、戦車が飾られている明らかに警備が厳重そうな建物がありましたが、ずっと軍人さん(銃を持ってる)が巡回していたので、さすがにこっそりでも写真を撮る勇気はなかったです。

すぐにフィンランド駅前の広場が見えてきます。

クリスマスツリーの奥にある時計塔が駅舎の目印です。

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この時点で11時。列車の発車時刻は11時25分です。

なんとか間に合いそうだと息をついたのは束の間、駅舎の中に入ってもフィンランド行きアレグロのホームが見当たりません。

ピンチ?

とりあえず、その辺にいた駅員に尋ねます。

「Где Allegro(グジェ アレグロ)?」(アレグロはどこですか?)

当然ロシア語でベラベラと説明してくれます。なんとなくこの建物から出なければならないと言ってるっぽい。

この人からは、これ以上の情報は得られなさそうと判断し、「Спасибо(スパシーバ)」(ありがとう)と告げて、今度は窓口の人へ。

もしかしたら駅の窓口の人だし、英語が通じるかもと考えて「Excuse me?」と声をかけましたが、チャールズ・ブロンソン似の係員の女性は苦み走った顔で首を振ります。

すぐさまロシア語に切替え、

「Скажите, пожалуйста, Где Allegro(スカジーチェ パジャールスタ、グジェ アレグロ)?」(すみません、お尋ねしたいのですが、アレグロはどこですか?)

と尋ねました。

チャールズ子さんは眉をしかめたまま、指で四角を描き、この建物を出ることを示した後、「направо, и направо(ナプラーバ イ ナプラーバ)」(右に行って、また右)と教えてくれました。

ここで、来る時に見た建物の構造を思い出しました。そういえば、駅のホームは時計塔を背にした場所にあったよ!つまり今は裏側にいるんだ、だから一度ここを出て回り込めばいいんだ。

私が、あーわかった!という顔で「Понятно!направо, и направо(パニャートナ!ナプラーバ イ ナプラーバ)」(わかりました!右へ行って右ですね)とうんうん頷くと、ふっと笑顔を見せて「Да(ダー)」(そうだ)と頷き返すチャールズ子さん。

気持ちよく「Спасибо」とお礼を言って、さて行くべと駅を出かけたところ、制服を着た女性に声をかけられました。

「私は英語が少し話せる、何か困っていますか?」

と聞いてきてくれました。もう大体のことは分かってるけど「アレグロのホームを探しているのです」と答えると、先ほどのチャールズ子さんと同じことを教えてくれます。

確信も持てたし、さくさくアレグロのホームへ向かいます。時間は11時10分になっていました。

すぐに見覚えのある建物が見つかりました。

そういえば、余ったルーブルの両替をしたい。待合室のすぐ横には両替所があり、フィンランドルーブルを替えられる場所を見かけなかったから、できればしていきたい。

出発まであと10分少々。連れは「いや後でいいでしょ」と焦っていますが、「まだ大丈夫、すぐ隣だから」と説得して両替所へ。なんと窓口に人がいて、待たなければいけない。やばいか?

連れの顔が引きつる。私は時間をチェックし、あと2分待って順番が来なければ行こうとなだめます。

するとすぐ前の方が済んで、少し残ったルーブルを両替するだけの我々は、あっという間に終わりました。

足早にホームへ向かい改札を抜けると、簡単なX線の荷物チェックを受けます。

そこそこお土産を買って重くなったバックパックを「うげぇー!!」と下ろす私に係員の方はクスクス笑い、チェックはゆるゆるでした。ほんとに見てた?

アレグロはもう到着していました。時間は出発3分前。ギリギリでいつも生きていたいんだぜ!

ここで思い出していただきたい。フィンランドから来る時には座席指定ができましたが、サンクトペテルブルグ発の列車は指定ができず自動的に割り当てられるため、自分がどこに乗ればいいのか分からないのです。(下記リンク参照)

 

mikawayaemi.hatenablog.com

すかさず乗務員ぽいお姉さんをつかまえて「自分の座席が分からないんだけど」と尋ねて・・・うん?あなたは3日前にアレグロに乗って来た時に、私の入国申請書をミスして破ったお姉さんではないですか?

先方は記憶に残っていない様子で、淡々と列車番号と座席番号を指し示し、「あっちだよ」と乗るべき列車を教えてくれました。

無事に列車に乗り込み割り当てられた座席へ行くと、えっと上品なマダムが座っていらっしゃいますが?

「あの、すみません。そこは私の座席なのです」とお伝えしたところ、キュートな笑顔で「まあ、ごめんなさい!どうぞ」と横にずれてくれました。

いや、違うんだ。そうじゃないんだ。その2席は我々のなんだ・・・

しかたなくチケットを見せて「ここは1番と2番の席で、私たちが予約しているんです」と説明します。するとマダムは「1番?あらやだ私は8番なの。席が違うのね」と理解して下さり、席を移ってくれました。

我々の席は4人掛けだったので、向かいに座って推移を見守っていた女性と男性もホッとしています。

やれやれ、と村上春樹ばりにため息をつき、さっそく備え付けのウォータークーラーの水を飲みました。一気飲みしてぷはーとする私を、向かいのお2人が微笑ましげに見ています。

その間、連れは心を失ったゾンビのごとき表情で押し黙っていましたが、ようやく腰を下ろして「最後までロシアは・・・」とボソボソ呟いたのが聞こえました。

そうだね、君にとっては受難続きだよね。

自分が思い描いている通りに進まないのは旅の醍醐味だけど、それを苦痛に感じる人はある程度いて、そういう人は無理して旅をしない方がいいのかもしれません。特に海外は、日本の常識がその国の非常識だったり、その逆だったりが起きがちだから。頭では理解してても、実際に体験すると辛いってのは往々にしてあるものね・・・

しかも出国審査で連れだけがカバンの中身を見せろと命令されてしまいました。

2メートルくらいあるゴツい審査官に「カバンの中身はなんだ」と聞かれ、もちろん自分では答えられない連れの代わりに「服とか本とか」と答える私をジロリと見て、「中を見せろ」と言い放ちます。

手持ちのリュックを開いて見せる連れに、上の棚に置いたバックパックを示して「それもだ」と命じる審査官殿。連れは完全に表情を消して指示に従っています。

「やめたげて!連れのライフはもうゼロよ!!!」と喉まで出かかった、マジで。

私には「ロシアを出てどこへ行くんだ?」と聞いてきました。

ヘルシンキへ戻って、それから日本へ帰るんだ」と説明しましたが「Go back to Japan」と言いながら手で飛行機の形を作ってブーンと飛ばして見せたせいか、フッと笑って「OK」と言い、荷物もチェックせずに終わりました。

その優しさの10分の1でも、連れに示してやってくれないか・・・

それからは何事もなく定刻通りヘルシンキ中央駅に到着。

3日前まで泊まっていたホステル・エロッタヤンプイストに再度チェックイン。休憩してから、街に繰り出します。

「ロシアから戻ると、フィンランドの過ごしやすさが分かるよね・・・」と連れが心の叫びをしみじみと漏らしています。

あー、まーね。君の気持ちは分かるよ。そうとうお見舞いされまくってたからね。

旅程はあと2泊。明日はムーミン博物館のあるタンペレへ行くため、おそらくゆっくりフィンランド土産を物色できるのは今日が最後です。

各所デパートを回り、ベタに「かもめ食堂」でご飯を食べたレポートはまた次回!7月中にお届けする予定です。