カーディフうろうろ歩き~後編 国立博物館は楽しいぞ!ちょっとへこんでたけど元気出ました
カーディフの旅、2日目です。
前回はカーディフ城をじっくり見学したところまで書きましたが、もしかして「あれ?この人お昼ご飯食べたのかな?」と心配しておられる心優しい紳士淑女の皆様へ。
安心してください、スニッカーズ食べてますよ。
あれ好きなんですよね~。カロリーが鬼高い食物ですが、そぞろ歩きの携行食には最適です。
日本よりかなりお安く売られており、我らが庶民のスーパーTESCOでも1本1ポンドしませんし、イギリスの100円ショップにあたる1ポンドショップでは、なんと2本で1ポンドで売られていました。
もともとそんなに食に執着がなく、街歩きに夢中になってしまうと食事を忘れがちな身としては、スニッカーズは強い味方なのです。
その辺に座って、ペットボトルのお茶と一緒に食せば、あっという間にHP回復。
手軽な栄養補給としてバッグに常備していたおかげで、後に引き起こしてしまった災難において、からくも命をつなげることができました・・・それがなかったら、けっこう危なかったと思います。
と、クリフハンガーな伏線を張りつつ、とりあえずお城の見学を終えたのは午後3時ごろ。
ちなみに、朝ホテルを出てから歩いた道のりは下の地図のような感じです。
動物の像を見るために、いったん引き返してますね。
こうして見ると、そんなに離れていない。お天気にも恵まれ、散歩にちょうどいい距離でした。
午後から行く場所は、前から決めていました。
National Museum Cardiff | National Museum Wales
日本語での簡単な解説ページもあります、便利。
博物館の隣は市庁舎です。白亜のとても美しい建物。
博物館もまた壮麗な建物です。
カーディフ国立博物館は、美術館と自然科学の博物館が併設されている総合博物館です。
恥ずかしながら芸術にはうといものの、生物関連には並々ならぬ関心を持っていますので、科学博物館にテンション上がりまくりです。
しかも有難いことに入場料無料!こういうとこ、イギリスは本当に懐が広いです・・・
入館した時点で午後3時半くらいでしたから、閉館の5時まであと1時間半しかありません。ゆえにポイントを絞って回らねばと思いつつ、展示がすごく充実していて回り切れなかった~。
ホールを抜けて、自然科学博物館に続く扉を開けると、ドン!!!
メガロドンだったと思う・・・これは2階から見たところです。
ジオラマの出来がいい。
この上にさっきのサメがいたような。もう2年以上経ってるから記憶が曖昧になりつつあります。
特にお気に入りの海洋生物コーナー。かなり大きなクラゲの模型が浮いています。
標本も豊富。あれからいろいろ知識を蓄えた今なら、もっと面白く見れるだろうなー。
本当に標本の出来が美しいです。うっとりする・・・
みんな大好きウミウシ。ディスプレイがポップでおしゃれ。
一押しの展示模型。ストロベリースパゲッティワーム。
こういうの苦手・・・という方もいるかもしれない。でも私はすごく好きなので、あえて紹介させてもらいます。実物は細部まで再現されているのがよく分かって、素敵だったわ~
海洋生物セクションは内装も凝ってます。海の中にいるみたい。
立派なクジラの骨格標本。
この他にも、陸上生物セクションでは、地元では馴染みがあるであろうキツネやウサギの生活を、内部に入れる大型ジオラマを使って解説しており、すごく面白かったです。
土の中からウサギを見上げると、可愛いだけじゃない捕食者としての一面を感じられました。
それほど館内は広くなかったのですが、楽しみながら学べるように工夫が凝らされていて、一日中いられる・・・と思いました。絶対また行きます!
科学博物館で時間を取ってしまったので、美術館側はさっと見ただけになってしまいましたが、それでもカーディフにゆかりのある芸術家や、歴史に絡めた展示で、少しだけまたカーディフのことを知ることができました。
モネやルノワール、ロダンなど、有名どころもそろっていましたよ。
印象に残ったのは、ある絵本を取り上げている小さなコーナーでした。
イギリスの絵本作家マイケル・ローゼンさんが、最愛の息子を亡くした一人の男の独白を綴った「悲しい本」です。
壁に一枚一枚展示された絵本のページを目で追ううちに、彼の悲しみが胸にしみこんでくるようでした。
慎重に選ばれているであろう壁の色、少しづつ高さに変化をつけた絵本のページ、控えめに添えられている小物など、悲嘆にくれる呟きを囁くように伝えてきて、涙ぐんでしまいました。
するとちょうどそこに、閉館時間を告げる係の方が来て、泣いている私に驚き「どうしたの?何かトラブルがあったの?」と聞いてきました。
そうじゃなくて、この展示が素晴らしくて感動したんだ・・・と言うと、ニコッと嬉しそうに微笑み「担当者に伝えるよ、きっと喜ぶよ!」と言ってくれました。
ミュージアムショップもゆっくり見たかったし、カフェ&レストランも行きたかった・・・と後ろ髪を引かれつつ、博物館を後にした時点で午後5時。まだ空は明るいです。
ふと、昨日同室だった韓国人母娘から教えてもらったカーディフ湾に行ってみることにしました。
中心街から徒歩20分くらいで行けるとガイドブックに書いてあったので、博物館からなら30分もあれば着くだろうと予想して歩き始めました。
時間の予想は正しかったものの、旅に慣れてきて緩んだ気持ちに活を入れられる道中でした。
カーディフ中央駅からBUTETOWNを通って湾まで行ったのですが、大通りではなくBute通りを歩いたため、観光客ゼロ&地元民のみのアウェイ感満載で、ものすごくジロジロ見られ、ちょっと怖かったです・・・幸い何もトラブルは起きず、明るい時間だったから通りには小さな子供もたくさんいたので、そこまで危ない雰囲気ではなかったのですが、おそらく夜には一変すると思います。
それは、夜に駅前で食事をしたときに実際に経験するのでした・・・
ドキドキしながらたどり着いたカーディフ湾。
解放感があり、近くには遊園地やレストラン街もあり賑わっています。
海からの風が気持ちいい。デッキでしばらくぼんやりしました。町の観光は楽しいけれど、こうして自然に触れるとほっとします。
ところで、このド派手なアトラクションは何なのだろうか?
子供たちのキャッキャとはしゃぐ歓声が耳に心地よい。
観覧車はなかなかの大きさ。夜景とか見るのもよさそう。
ぶらっと一回りして、海辺の雰囲気を味わってから、暗くなる前に帰ることにしました。
後から気づきましたが、近くに海洋博物館があったんですね・・・次は明るい時にゆっくり来ます。
人の流れに沿っていたら大通りに出たので、帰りは何の不安もなく中心街まで戻れました。
がしかし!その前に大変な発見をしてしまったのです。まずは写真を見てください。
これ、知ってる人は「トーチウッドに出てくるミレニアムセンターじゃん!」とピンと来るはず。そうです、イギリスが誇るSFテレビドラマ「ドクター・フー」のスピンオフ作品、カーディフを舞台にした「秘密情報部トーチウッド」に出てくるやつですよ!
おれ、これ、知ってる・・・
建物の前で立ち尽くしてしまいました。
「トーチウッド」はキャラクターたちがとにかく好きで、特にジャックとイアントに思い入れがあるのでシーズン3は心を切り裂かれるようでしたよ・・・
大きなレンタル店には置いてあると思います、ぜひ見てください!
不老不死の存在である主人公のジャック・ハークネスの不死の苦悩を背負いつつ、軽快さと凄みを併せ持つ人物造形をはじめ、愛すべきとは言いにくい非常に癖のあるそれぞれの登場人物たち、なかでもイアントの健気さにはもう・・・切ない。
あと、リースはめっちゃいい奴。
SFと犯罪が入り混じるストーリーはえぐい展開もあり、グロテスクな描写もあるから心してご覧ください。
なんと現地ではロケ地巡りツアーも開催されていると知ったので、ドラマを復習し、英語力をアップさせて挑むつもりです。
カーディフ中央駅まで戻ったところで、明日の列車のチケットを確保しておこうと考えました。
チケットは事前に「Virgin Trains」というサイトで購入していましたが、EチケットのPDFを送るのではなく、現地でファストチケット発行機を利用するようにと、予約番号だけが送られてきました。
Buy Train Tickets, Check Fares & Train Times - Virgin Trains
PDFを送ってきたチケットもあるので、どうやって区別しているのか分からない・・・ロンドンから離れたり、小さな駅だとファストチケット番号のみだったりしたのですが、カーディフはウェールズの首都だしなあ。
管轄の問題なのかもしれません。詳しい方、教えてください。
当日に慌てるのも嫌だし、と思って駅に行ってみたのですが、正解でしたね。
チケット発行機が壊れてました。
「オーウ!」と呟いて、すぐに窓口へ。
「ファストチケットを発行しようとしたら、機械が壊れてたんだけど」
「I see.(なるほど)」
それで?みたいな反応。
「これ、予約番号ね。チケットをここで発行してもらえる?」
「Of course.(いいとも)」
こんな時、ああ外国にいるなあと思います。
日本であれば、最初の「壊れてたんだけど」の時点で、すぐ謝って要求せずともチケットを発行してくれますよね。
しかしここはイギリス。自分はこうしたいのだという意思表示をしなければ状況は動きません。
これは空気を読まないという訳ではないのだと理解してきました。
こちらの意図は察してはいるんです。でも、相手の意思を確認してもいないのに、勝手に推測して先走った行動をすることは、意思を無視する失礼な行為だという考え方があるのだと思います。
日本では気配りとされていて、良きことと受け取られる場合が多いけれども、ところ変わればポジティブに受け取られない場合もあるんですねー。
これはもう、自由意志についてのとらえ方の違いなので、どちらがいい悪いではないと思います。
ともあれ無事にチケットをゲット。
夕食をいつものテスコで買ってホテルで食べるのも考えましたが、昨夜パーティー会場みたいになっていた食堂を思い出して、どこかで食べて帰ることにしました。
パブやレストランをいくつか見て回ったものの、どこも賑やかで、なんだか一人静かに食べたいの・・・と思ったので結局マクドナルドにしました。
いろいろ考えるのが面倒くさくなっていたんですね。
さっと入って食べて、さっと出たにもかかわらず、小一時間もしないあいだに3組の喧嘩を見ました。
1組目は入り口で激しくののしりあう女性2人、あわや掴み合いになるかという雰囲気でした。
2組目はマクドナルドの店内で食べている時、レジ待ちの列に並んだスキンヘッド&ぶっとい腕にタトゥー入れまくりの男性2人が一触即発になっており、互いの胸ぐらをつかんでいました。
3組目は店を出てすぐの通りで、男性2人が殴り合っていました。
それを、特に誰も気に留めてないの。
昼間はそうでもないのに、夜になると急に危険な空気が漂うな・・・
これは他の街でも感じたので、カーディフに限ったことではないのだと思います。
身の安全が最優先と、さっさかホテルに帰ると、部屋には誰もいませんでした。この日は、ドミトリーに泊まるのは私だけだったようです。
やったー!!1人サイコー!!!
明日は8時半発の電車でソールズベリのストーンヘンジを見にいくので、早めに寝ることにしました。
階下から漏れてくる食堂でのパーティー騒ぎも、窓の外のスタジアムから流れてくる歓声も、今夜は眠りを誘う子守歌のように穏やかに聞こえます。
今日は歩き回って疲れたし、1人旅にもそのうち慣れて気持ちも落ち着くさ。昨日より気分はましじゃない?
自分に問いかけると、それもそうね、という返事が浮かびました。
旅のあいだ、落ち込むこともあるさ。当り前のことだよ。
それもそうね。
そうしていつの間にか眠っていて、翌朝目覚めた時にはずいぶんすっきりしていました。
さあ、次回はこの旅の目玉の一つ、ストーンヘンジです。
写真たくさんでお届けしますね。
では。