ヘルシンキ2日目 前編~今日もおじさんに声をかけられたのは運命か何かかもしれない
北欧の冬の夜明けは遅い。しかし我々の朝は早い。
前日、22時くらいには寝てしまったので、6時には目が覚めていました。
キッチン兼共有スペースに行くと、暗い顔をした長髪のヒッピーぽい旅人が、ソファで膝を抱えています。
なんとなく目で挨拶しましたが、スルーされました。
こういう人はどこにでもいる。外人だからって、みんながみんな陽気なわけではないのだ・・・そっとしておきましょう。
ぼんやり朝ごはんを食べていたら、連れが現れました。よく寝れなかったんだろうな、という顔をしています。
もともと不眠症気味で、眠りが浅いのは聞いていたので、それが原因で体調を崩すのではと心配していました。
眠れた?と聞けば、そこそこという返事。うーむ。
のんびりご飯を食べて、お茶を飲んでいるうちに小一時間経っていました。
急ぐ旅でもないが、予定を決めたことだし動き出そうかと、準備を整えて街へ出ます。
まずは朝から開いているというマーケット広場へ。
一応、観光名所であるエスプラナーディ公園を通っていきます。
夕方のようですが朝8時くらいです。
12月なので、こんなディスプレイも。
マーケット広場は港沿いに広がっていて、夏はもっとにぎわっているんだろうなーという感じです。
毛糸の帽子を売っている女性と少し話をしました。すべて手編みとのこと。すごく熱心に説明してくれましたが、残念ながら買いたい気持ちにはならず、お礼だけ言って立ち去りました。
ほぼ観光客、まれに地元の方という雰囲気。そして日本人女性が多いです。女同士二人組か、一人旅が大半なのが特徴です。私たちのような男女2人組(カップルではない)は珍しいのかも。
日本以外のアジアからは団体さんが多数派で、欧米は家族連れ又はカップルが多いです。
オフシーズンだからか、それほど混みあってもおらず、太陽も昇っていないので薄曇りの空の下、フィンランドの首都のはずなのにどこかひなびた港の風景は、どことなく日本海。おしゃれだが日本海。
頭の中で鳥羽一郎の「兄弟船」が鳴り続けています。
なみの~たに~まに~いのちの~はな~が~
JASRACが怖いのでこのくらいにしておきますが、とにかくエンドレスで音楽がループする現象、イヤーワーム(earworm=耳の虫)に、遠い異国でもさいなまれています。
人間、海外に行ったくらいでは性質は変わらないのです。
「兄弟船」を口ずさむ私に、連れは奇異な目を向けてきます。
それには構わず、すぐ傍にあるオールドマーケットホールへ。
なにげに入口が自動ドアで驚きます。
しかしまだ時間が早いため、どこも準備中で閑散としています・・・ですよねー。
ぐるりと一周しただけで、また開いてる時に来ようねと観光に戻ります。
なみの~たに~まに~・・・
港から見ると、ちょこんと頭がのぞいているヘルシンキ大聖堂へ向かいます。
ばばーん。
白い!きれい!月並みな感想!
来るのは二度目ですが、前回は礼拝中で入れなかったので、今回見学できたのはラッキーでした。
とはいえ社会見学かなにかでしょうか、学生さんたちが礼拝堂の前方に集まって話を聞いています。
お邪魔にならないように少しばかり覗かせてもらってから、サクッと外へ出ます。
大聖堂の前にある元老院広場では、クリスマスマーケットのブースが並んでいます。ここもまた、開いてる時なら楽しいんでしょうなー。
大聖堂を背にして写真を撮っていると、あるものに気がつきました。
建物の向こうにチラ見えするシリアラインです。
ツーリスト| タリンクシリヤラインでの バルト海クルーズへようこそ | - Tallink & Silja Line
いつか乗ってみたいと思っていましたが、その姿を間近で見られるなんて!すぐさま港へ戻ります。
おお!
青と白のカラーリングがさわやかだわー、マスコットのアザラシさんの笑顔もまぶしいぜ。
丘に登って上からも撮るのさ!
いやはやテンションMAXでしたわ。いつか・・・いつかきっと!
興奮冷めやらぬまま丘を下っていくと、ものすごく気になる店がありました。というか気になる存在が。
ステーキハウスの看板牛・・・?
親近感の持てるお腹のライン。
けっして目は笑っていない。恨み~ま~す~(by 中島みゆき)
『うらみ・ます』収録『生きていてもいいですか』(アルバムタイトルもすごい)、中島みゆきさんの初期を代表する名盤だと個人的には思います。
看板牛を激写していたら、通行人に笑われました。
そんなウキウキウォッチングのさなか、小さな本屋を見つけました。
ガラス張りのウィンドウからは、色鮮やかな書籍がディスプレイされた店内をうかがうことができます。店の前にはワゴンが置かれていて、「1€」と書かれたポップがぶらさげられています。
素敵やん、などと手に取ってパラパラめくっていたら、目の前を通り過ぎた自転車がキキッと止まりました。
「ここはいい本屋だぞ!」
おじさん登場です。
「ワンユーロ!ワンユーロ!」
ワゴンをグルグル指さしながら、必死に訴えてきます。
このワゴンの中の本は全部1ユーロだよって教えてくれてるんだね?知ってるよ!
でもなぜ私にピンポイントで・・・
「ワンユーロ!オール!」
すげーいってくんじゃん。目力もパねえ。ともあれ、彼の心意気は受け取らねば。
おもむろに、人差し指を立てる私。
「ykusi euro(ユクシ エウロ)?」(フィンランド語で「1ユーロ?」と聞いています)
はっとするおじさん。重々しく「yksi euro」と頷きます。
私もまた、ワゴンの上に手を広げて「yksi euro」と頷きを返します。
最小限の言葉で最大限のコミュニケーションだ・・・
満足げな表情を浮かべたおじさんは、もう一度「ここはいい本屋だ!」と言い残し、自転車をキコキコいわせながら去っていきました。
古本の妖精さん?
なんだろう、この1日1おじさんのペースは。
連れはやっぱり空気になり、私&おじさんの2ショットを撮りまくっていたのでした。
まだまだ先が長いので、いったんここで分けますね。
次回はヘルシンキ動物園編です。