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サンクトペテルブルグ3日目 後編~狂気に触れる昼、ロシアに馴染む夜

(前回のおさらい)

動物学博物館で膨大な量の剥製に圧倒されてぐったりした我々は、サンクトぺテルブルグ総合大学の学食に潜入して、久しぶりの学生気分を味わうとともにお腹を満たし、午後からの活動に向け英気を養うのであった・・・

 

のんびり休憩&キャッキャした若者に囲まれたおかげでHPが回復した我々は、一路クンストカメラへと向かいました。

正式名称は「ピョートル大帝記念 人類学・民族博物館」ですが、珍スポット好きの好事家には「クンストカメラ」(珍品コレクション、珍品好きの変人)という別名の方がお馴染みです。

確かに世界の民族文化についての豊富な展示もあるのですが、もちろんそっちも面白いんですが、やっぱりピョートル大帝のエグいコレクションー奇形動物の剥製や奇形児のホルマリン漬け&骨格標本が自分的にはメインでした。

というのも、都築響一さんが世界の珍スポットを巡った記録を収めた「珍世界紀行」という本が大好きで、その中で紹介されていた「世にも美しい頭部のホルマリン漬け」をこの目で見たかったのです。

http://amzn.to/2nleSNL

(こちら、文庫本も出ていますが、写真を見るには大判の単行本の方がお勧めです)

悪趣味なのは承知しています。ただ方向性は違えど、美しいものや可愛らしいものと同じように好きなんです。

なぜだか、あまりに美しいものに触れると圧倒されて恐ろしくなるように、グロテスクなものを見ると逆に安心するんです・・・たたみかけるような奇形動物&人の展示を見ても、午前中に見た動物学博物館みたいに怖いとは思わないんですよね。

この辺の心の動きは、今後掘り下げてみたいところです。

さて、サンクトペテルブルグ総合大学からクンストカメラは歩いて5分くらい、あっという間に着きます。

公式サイトです。(ロシア語と英語のみ)

http://www.kunstkamera.ru/en/

またしても窓口で、私たちの前にいたロシア人家族連れが、出したお札の額がデカいからと断られて揉めてました。

同胞にも容赦なく手厳しい対応をする。それがロシア。私おぼえた。

チケットは200ルーブル、だいたい300円弱(2015年12月当時)ですね。安い!

美術館とか博物館とかの入場料が総じて日本よりリーズナブルです。あと交通機関の運賃もそうですね。物価の違いの要素もあるのでしょうが、公衆に供するものは安価でという思想的背景がある気がします。

ありがたやーとお釣りなしでチケットを購入し、コートを預けて中へ。

前述の通り、世界各国の文化を紹介する展示がたくさんあって、じっくり見てると半日はかかりそうです。日本文化を紹介したコーナーは微妙に首をひねる部分はあるものの、だいたい合ってるって感じでした。

きっと他の国も、その国の人が見たらビミョーってのがあるんだろうな。

民族衣装とか日用品とか本当にびっしりと並べられているので、すごく楽しかったです。写真撮影OKだったのですが、こういうのはナマで見た方がいいべさ、と思って写真は1枚も撮りませんでした。多分また来るしな・・・という思いもありました。

それに肝心のピョートル大帝グロテスク・コレクションは撮影禁止だと本で読んで知っていたので、写真を撮るモチベーションが低かったというのもあります。

それも寂しいから1枚だけ。クンストカメラの建物を出口側から見たところです。

小さい中庭があって、夏とかに軽くお茶するのに良さそうな場所でした。

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しかしながらピョートル大帝のコレクションはすごかった!

これでもか!と言わんばかりのホルマリン漬けだらけで、連れは「夢に出そう」とブルーになってました。

申し訳ないが私はうっとり&興奮で、親切にも英語も併記されていた説明書きを一個一個丁寧に読んでました。ピョートル大帝がさまざまな標本を集めながら、ウキウキしてたのが伝わってくる良い展示でした・・・

ドロドロした情念がないとは言わないけど、むしろ少年のような無邪気な喜びが伝わってきて、ほっこりしたよ。楽しかったんだろうな、分かる、分かるよツァーリ(ロシア語で君主の称号)!

駄目な人はマジで駄目だと思うので、ここまで読んで心ひかれた方は是非どうぞ。

物足りない、なんてことは決してないと思います。

ちなみにお勧めのお土産は、双頭の胎児の骨格標本がプリントされた斜め掛けバッグです。たしか350ルーブルくらいだったはず。お値段のわりに作りがしっかりしてるし、黒地にシルバーのプリントがクールです。

売り場のお姉さん(美女)が、「斜め掛けする用だから持ち手が長いのよ」と一生懸命説明してくれて可愛かった。

イキイキ&ぐったりと明暗分かれた我々は、今度は連れの希望で「血の上の救世主教会」こと、スパース・ナ・クラヴィー大聖堂へ向かいます。

12月のロシアの日は短く、4時半くらいでそろそろ夜の気配。

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宮殿橋を渡ってエルミタージュ美術館の横を通る頃には、空の色が濃くなっていき、

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ゆっくり歩いてスパース・ナ・クラヴィー大聖堂に着いた時には夜でした。

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夜が来るの早いよロシア!

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連れが「外側から写真を撮るだけでいい」と言うので、私も中が見たいというほどでもなし、さくっと外観を撮って終わりました。

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正直、「テトリスだな・・・」というショボイ感想しかない。

お好きな方からしたら、なんてもったいないことを!とお叱りを受けるでしょう。日本人らしいモッタイナイ精神に反するわ。

まあちょっと疲れていたんですね。私も連れも美術に熱心な方ではないですし。

そこから地下鉄の駅Гостиный Двор(ガスチーニィ・ドヴォール)まで歩き、私の希望でお土産屋さんへ向かいます。

途中で見たДом Книги(ドム・クニーギ)のライトアップが綺麗でした。

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緑色のメトロ3号線に乗って、Площадь Александра Невского(プローシャチ アレクサンドーラ ネフスカヴァ)で下車。

駅から徒歩4分だとるるぶには書いてあったけど、実際は不安になるほど遠い場所にあった、亜麻製品を中心に取り扱っているナチュラルテイストのお店「Славянскнй Стиль(スラヴャンスキー・スチーリ)」にどうにか到着。お目当てのマトリョーシカ柄エプロンをゲットしました。

もう地図と実際の場所がずれていることぐらいでは動揺しないよ!

すっごく可愛くて、汚すのが嫌で使えない・・・時々取り出してうっとり見てます。

この先、万が一裸エプロンをする機会が訪れたら、満を持して身に着ける所存です。

お買い物を無事に済ませ、いい時間になってきたことだし、そろそろ晩御飯でもとなりました。

実はお土産屋さんからホテルまでは歩いても戻れる距離です。今まで散策していたエリアとは違う場所だし、食事ができる店を探しがてら、ぶらぶら戻ることにしました。

私は胸に一つ、野望を秘めていました。ロシアの寿司を試してみたい・・・!

幸い、これまでもあちこちでСуши Бар(スシバー)を見かけています。

案の定、ネフスキー大通り沿いにチェーン店ぽい寿司バー「ЕВРАЗИЯ(エブラジヤ、だと思う)」を発見。

連れが了解してくれたので、英語のメニューがあるのか、ていうか英語が通じる店員さんがいるのかも確認しないまま入ってみました。

この頃になると、だいぶ腹が据わって来てましたね。なるようになるわ、と思ってました。

そしてやっぱり、英語は一切通じませんでした。かろうじて伝わるのはイエス、ノー、オーケーくらいです。

階段を下りて店に足を踏み入れた途端、けっこうなアウェー感に包まれます。

ホールのお姉さんも、カウンター形式の厨房の人たち(寿司バーなので握るところが見えるようになってました)も、「観光客っぽいけど・・・コミュニケーションとれるのか?」という表情を浮かべ、そろって不安そうにこっちを見ていました。

とりあえず「Здравствуйте(ズドラーストヴィチェ)!」とご挨拶したら、ちょっぴり安心した雰囲気に。

メニューを手渡されて「Спасибо(スパシーバ)」とお礼を言うと、ニッコリとほほ笑んでくれました。おお、ロシアでは珍しい・・・

メニューには英語が併記されていたため、選ぶのに苦労はしませんでした。

海苔巻きセットに、ロシアならこれだろう!のイクラ、サーモン大好きなのでスパイシーサーモンマヨみたいなのを注文しました。緑茶もあったので、それも頼みました。

お姉さんを呼んで注文を伝えると、なにやらメニューを指差しながらいろいろ話しかけてきます。

速い、知らない単語だらけ、ゆえにまったく分からない。

首をひねりながら会話を続けているうちに、だんだん理解できてきました。メニューの中でもお手ごろな値段のネタと、ちょっとお高いネタがあって、私たちがそれを混ぜて注文したので、勘違いしてないかを確認したかったようです。

「話が通じたぞ!」という瞬間の私とお姉さんは、ハイタッチしそうな勢いでしたね。

それにしても、よく粘り強く説明してくれたものだわ。私が彼女の立場だったら、あそこまではやらないかも。

テンションが上がってたから「オーケー、オーケー、ノープロブレム」って永ちゃんみたいに答えたけど、なんか通じてたみたいで良かったです。やはりロックンロールは世界共通の言語だな。ヨロシク!

また机の上にもおススメメニュー的なものが貼られていて、デザートっぽい果物とクリームチーズをライスペーパーで巻いたやつが美味しそうだけど、こちらは値段が書かれていない。

これも聞いてみないと不安だな、変に高かったらいやだしと思い、まずは指差して「How much is it?」と尋ねたところ、予想していた通り困った顔をしています。

うーん、これは通じないみたいだと分かったので、今度はロシア語で「Сколько это стоит(スコリカ エタ ストーイット)?」(いくらですか?)と尋ねると「Двести Восемьдесят☆%*△#・・・」と答えます。

おお、数字は難しいな!最初の「Двести(ドヴェスチ)」(200)は聞き取れたので、「Двести?」と問い直したら、もう一度「Двести Восемьдесят(280)☆%*△#・・・」と言ってくれました。

これは多分280~289までの間だな、と推測できたので、「Да, Понятно. Oдин, пожалуйста(ダー パニャートナ、アジン パジャールスタ)」(はい、分かりました。ひとつ下さい)と注文しました。

お姉さんは「Пожалуйста」と去って行きます。

やれやれ、ロシア語のみでレストランで注文するタスクをクリアしたぞ。

しばらく後、まずはお茶が運ばれてきました。

よく紅茶をサーブする時に使うようなガラスの容器に日本茶が入っているのは多少の違和感がありますが、それよりもサイズに驚きです。高さ25センチはあるのでは?

一人に一つずつ頼まなくてよかったねー、とホッとする我々。最終的には2人で分け合っても多かったです。

しかしもっと重要な問題があったのは湯飲みです。湯飲みの底の部分、いわゆる「糸尻」と呼ばれる部分がありませんでした。

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やっぱり微妙に正確には伝わっていないんだねなどと、のん気に笑っていられたのはお茶を注ぐまででした・・・

「熱っっっっ!!!」

そう、熱くて湯飲みが持てない!お茶の温度がハンパなく熱いため、湯飲み部分を素手で持つことなどできません。そういえば、湯飲みに熱いお茶が入っている時は糸尻と縁の両方を指で支えて持っていたのだった。糸尻は一種の絶縁体的な役割も果たしていたのだな。

「これは持てないな」

「お茶が飲みたいね・・・」

陶器部分に熱を奪われて中身のお茶が少し冷めても、その分だけ熱を吸収した湯飲みはひたすら熱い。

打開策としておしぼりを巻いてチビチビ飲んでいたら、なぜか店員さんがおしぼりを持って行ってしまった。なにゆえそんな酷い仕打ちを・・・

そうこうしているうちに寿司がきました。

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けっこうちゃんとしてて、ガリも付いてます。

カウンターの奥にいる板前さんが心配そうにこっちを見ていました。

確かに、彼らから見れば我々は寿司の本場から来たわけで、リアクションが気になるのは仕方ない。背中を向けている連れが、ロシア人板前のレーザービームみたいな視線に気づいてないのが恨めしい。

なるべく大きく表情を変えず「まあ、いいんじゃないでしょうか」みたいな、そこそこ満足してる空気を醸し出しておきました。

味の感想は「思ったより普通」です。イクラは本場なのにさほど美味しくなく、海苔巻きはコンセプトを勘違いしているのでは?という仕上がりでしたが、マヨネーズ和えのサーモンとイカは美味しかったです。

そして何より大ヒットだったのはデザートロール

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クリームチーズと果物の相性バッチリで、上からかけてあるジャムも甘すぎず、ちょうどいい塩梅です。6個入りで400円くらいだと思うと、値段的にも満足。もう1セット頼んでもよかった。またロシアに来る時に、これだけ食べにこの店を利用してもいいくらいです。

さて無事にお腹を満たし、店内で利用できる無料wifiで連れが「ワンピース」を読むほどリラックスしたので、そろそろ引き上げることにします。

お会計お願いしますと伝えたいけど、残念ながらロシア語での言い方を知りません。ここは英語が通じないのはすでに経験済み。そこでジャジャーン!と取り出したのが、フィンランドのホステルから借りてきた「旅の指さし会話帳 ロシア」です。

http://amzn.to/2nl2xcm

ところが、いくら探しても「お会計お願いします」が見つけられません。私の探し方が悪かったのか?そもそも書かれていないのか?こんなよく使いそうな言葉がないなんて不思議なので、事情に詳しい方は教えて下さい。

その時は幸いネットが使えたので、調べて事なきを得ました。

「Счет пожалуйста(スチョート パジャールスタ)」でした、ご参考までに。

帰り際に、ウェイトレスのお姉さんたちが皆して手を振って「До свидания(ダスヴィダーニャ)」と見送ってくれたのが嬉しかったです。

お互いにやりとげた感でテンションが上がってたんでしょうね、私も一人ひとりに「Спасибо」とお礼を言って店を出ました。

 

お散歩気分でホテルまでのんびり戻ります。辺りはすっかり夜ですが、危なげな雰囲気もなく、クリスマスが近かったせいかなんとなく浮かれたムードです。

モスクワ鉄道駅の壁を使ったプロジェクションマッピングを見物し、途中にあった初めて入るスーパーで買い物をしました。今まで通ってた店よりもコンビニエンストアに近く、品ぞろえが豊富で面白かった。

明日は昼の列車でフィンランドに戻るので、車内で食べるものを買いました。

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エビ好きとしては外せなかったエビスナック。

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お店的に一押しっぽかったベーコンスナック。

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パッケージの可愛さにジャケ買いしたパン。

飲み物は、車内に無料のウォーターサーバーがあるのを知っていたので、

荷物になるし、仮にも国境を超えるから液体を持ち込むのはやめようという判断で無しにしました。

3日目にして聞き取り能力が上がったのか、お釣りのない小銭をきっちり払えた私に、強面のレジのご婦人が満足そうにうなずいてくれました。

連れは「買い物するのもう嫌だ・・・上司の前でプレゼンするみたいな気分だ・・・」と完全に鬱モードです。なんかもう、ただただ気の毒だ。

明日はもう帰るからさ、と慰めていたら、暗い顔をしたまま「これあげる、多分二度と来ないから・・・」ロシアのガイドブックを手渡してきます。

「あ、ありがとう」

本格的に心をボッキボキに折られたんだね。これで海外旅行自体が嫌にならないといいけど。

体を休めつつツイッターをチェックしていると、以前ロシアを訪れたことのあるフォロワーさんから、大変有力な情報が寄せられていました。

曰く「ロシアのチョコレートは高級なものより、スーパーで売ってるものの方が美味しいですよ」とのこと。

ぬなー!?

家族へのお土産用としてチョコは購入済でしたが、そうと聞いてはこうしちゃいられない!お財布をひっつかんで、ホテル最寄りのいつものスーパーへダッシュです。

ばら売りされてるチョコレートを5個ずつくらい7~8種類買いました。レジのお姉さんが迷惑そうにしてましたが、そんなの知るかい、わしゃチョコホリックなんじゃい!

エコバックをパンパンに膨らませてホテルに戻り、荷物を整理して準備万端。

私は名残を惜しみつつ、連れは早く去りたいと願いつつ、ロシア最後の夜が更けるのでした。

 

次回はフィンランドへ戻ったおかげで連れの元気が回復し、かもめ食堂でご飯を食べたレポートです。

※更新が滞っておりますが、今年の8月に行くイギリス旅行のためターボをかけて働いており、あまりブログを書く余裕がないのです・・・

とはいえ旅行の日程はあと3日なので、イギリスに行く前に最後まで書ききるつもりです。その後はイギリス旅行編を書く予定です、そちらもよろしくお願いします。