サンクトペテルブルグ1日目 前編~ロシアの洗礼は手厳しい

ヘルシンキサンクトペテルブルグ行き列車「Allegro」に乗るべく、ヘルシンキ中央駅に着いたのは朝の5時45分。

出発が6時12分ですから、少し早かったかも。とはいえホームに行ってみたら、もう列車は来ていました。始発だからかな?

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Allegroのチケットは、フィンランド国鉄VRのサイトから直接買いました。

下記のページから、フィンランドとロシアの各都市を結ぶ列車のチケットを購入できます。

VR: Buy train tickets online. See timetables and buy your tickets. - VR

都市名を入力して、日付を選択し、「GET THE PRICE AND BUY A TICKET」のボタンを押すと、購入できるチケットが表示されます。

最初のページで出発/到着時間を選択することもできますが、しなくても大丈夫です。

私はヘルシンキサンクトペテルブルグを往復するチケットを買いたかったので、「Helsinki」「St. Petersburg (Finljandski)」と入力しました。

「St. Petersburg (Finljandski)」とは、「サンクトペテルブルグフィンランド鉄道駅」という意味です。ロシアの駅名は行き先が名前になっていますから、サンクトペテルブルグからフィンランドへ行く駅ということになります。

シートはファーストクラスとセカンドクラスから選べます。セカンドクラスでも日本の新幹線みたいな雰囲気で充分くつろげますし、寝台車ならともかく3時間半くらいならセカンドクラスで大丈夫だと思います。

フィンランドからサンクトペテルブルグへ向かう列車は、席の場所も選択できます。サンクトペテルブルグから戻ってくる列車では選択できません。強制的に割り当てられるのが、なんかロシアっぽい気がします。

料金は往復で1万円くらい。国をまたぐと考えたら、かなりリーズナブルです。

日本の代理店を通して購入することもできますが、手数料がかかる分だけ割高になります。区間によってはチケットと手数料がほぼ同じくらいになってしまうこともあり、可能なら自力で購入するのがお勧めです。

購入時には、パスポートに記載された情報が必要です。あらかじめご用意下さい。

支払い方法はカードです。購入手続きが完了すると、メールで領収書兼予約確認書がPDFで送られてきます。プリントアウトするか、データをすぐ見られるようにして持っていくと便利です。

 ヨーロッパの多くの国と同様に、VRにも改札はありません。

上記の予約確認書がチケット代わりになりますので、車内の検札ではそれを見せます。

 

乗り込んでしばらくは車窓が夜のままだから、連れはうとうとし始めました。

私はワクワクとドキドキがあいまって、目が冴えてしまっています。

少し明るくなり始めた頃、フィンランドの出国審査の人がやって来ました。

 マッチョでタトゥーの入った兄貴たちに、連れはそうとうビビってました。なかなか動揺が治まらない様子で、「あんな感じの人、けっこういるよ」と言っても「でも国境の審査をする人がタトゥーとか、日本ではありえないし」と納得いってない返事です。

たしかに日本ではその辺厳しいけど、ここは日本じゃないしね・・・公共機関で働いてる人でタトゥー入りって、海外では珍しくないし。警察官でもけっこういるもんね。文化的バックグラウンドが違うんだから、そんなもんかと流せばいいと思うんだが。

どうやら、その辺が不器用な人だというのが、後に分かってきます。

出国審査の後は、ロシアの入国審査です。

軍人感まる出しで、厳しい表情の女性2人がやって来ました。

あらかじめ渡されていた入出国カードとパスポートを手渡します。カードは左右で同じ内容を記入し、片方を入国時、もう片方を出国時に提出します。審査官が真ん中で切り離して、出国用の片割れを返却してくれますので、必ず保管しておいて下さい。

パスポートの写真と実際の顔を照らし合わせるため、顔を上げて見せるように命じられます。何回か見比べた後、審査官が口を開きました。

「How old are you?」

えっと、これはあれですか。東洋人は若く見えるから年齢を疑われるのハードバージョンですか。

自慢ではないですが、私は日本人からも実年齢より若く見られるのです。ましてや西洋人においてをや。・・・うたがわれている。

光りの無いグリーンの瞳、例えて言えば浅田飴のような無機質な瞳で見つめてきます。

株式会社浅田飴

「Forty」

重々しく答える私に、「ほほう・・・よくぞ言ったな」という声が聞こえてきそうな、これまた重々しいうなずきを返します。

たんねんにパスポートをチェックしていますが、問題はないはず。ビザだってちゃんと取ったもん。

ついに入国スタンプを押し、入出国カードを切り離そうとした、その時です。

びりっ。

私が、国境審査官が、もう一人の審査官が、連れが、そろって息をのみました。

今、けっこういったよね?半分に切るはずが、4分の3くらいになってるよね?

どうする気だろう、もう一回書けってんなら書くけどさ。そんな気持ちで推移を見守っていたら、破っちまった審査官が目に見えてアワアワしだしました。

まじかー。

同僚の方はあきらかに笑いをこらえています。

あー、やっちゃったね。

どうしよう、これ?

知らんし。

うわー。

的な、目と目のカンバセーションが繰り広げられている。

私も面白くなってきてしまいました。

最終的に「てへぺろ☆」みたいな笑顔とともに、きれいに形が残っている方を返してくれました。

ドジっ娘め!可愛いけど!

さて次は連れのパスポートチェックです。連れは5年用パスポートを取得していて、私の10年用とは色が違います。そこが彼女たちもひっかかったらしく、

「こっち黒いわよ」

「なんで?」

「日本のパスポートは5年用が黒で、10年用は赤なのよ」

「ああー」

みたいな会話を、かろうじて聞き取った単語から推察できました。

連れの入国審査はあっさり終わって、彼女たちはニヤニヤしながら去っていきます。さっきまでの緊張感がほぼゼロになったのはありがたいけどさ。

ひと息ついていると、今度は通関?に当たるのか荷物検査の人が現れました。

でかい&ごつい男性、そしてやっぱり軍人。

「君の荷物はどれだ?」

「これ(棚の上のバックパック)と、これ(手元のバッグ)です」

しばしの思案の後、「そのバッグの中を見せなさい」と命じられました。

脳内ではハートマン軍曹に「Sir, Yes Sir!」と答える気構えで、「Yes」とだけ答えてバッグを開けます。

(ハートマン軍曹って誰?という方は、ぜひ映画「フルメタル・ジャケット」をご覧下さい。戦争と人間の狂気を描いた傑作です)

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なんかこう、ごちゃーっと、ニット帽とスヌードとガイドブックとハンカチとティッシュとお菓子が突っ込まれてる、ダメな感じの中身です。

規律正しく整理整頓を旨とする(であろう)軍人さんは、憐れみと蔑みのこもった眼差しを注いでいます。

OK」閉じろ、と手振りで示しました。

く、くつじょく・・・

連れも同様にバッグの中身を見せ、荷物検査も無事に終了。

ようやく落ち着いて、過ぎていく景色をゆっくり眺められます。

しかしあまり変化がない。荒寥、という表現がぴったりくる原野が、延々と続きます。時折ぽつんと家屋が建っており、(あの家に住む人たちは、日常的な買い物とかどうしているんだろう?まさか自給自足?)という疑問が浮かばざるをえない。

列車で3時間半という、広大なロシアの国土を考えれば短い距離の間でも、驚異的な人口密度の低さと、浩々たる原野を見せつけられました。

こんな厳しい場所で生き抜いてる人たちに、温暖な風土で育った日本人が戦争で勝てるわけないよなー。これだけ土地があったら、収容所なんて作り放題だよなー。などの不穏な感想が去来します。

ああ、緊張がまたこみ上げてきた。

しだいに建物が増え始め、街が姿を現してきます。

デザインそのものは優美なんだけど、メンテナンスが行き届いていないというか、壁が剥がれ落ちてたり、落書きがひどかったり、どこか荒れた印象です。

フィンランドから来たから、よりそう感じるのかもしれません。

やがて、フィンランド鉄道駅に到着しました。

ロシアでは駅は軍事施設に当たるため、写真撮影は基本禁止という噂を聞いていたのですが、特に注意されませんでした。見つからなかっただけかも。

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駅の外に出ると、いきなりタクシーの客引きに囲まれます。

わらわら寄ってくる「Taкси(タクシー)?」おじさんたちに、「Het(ニェット)」(ロシア語でNo)と返し、両替所を探します。

さいわい、駅を出てすぐ左手の建物に「Cash Exchange」と書いた看板があり、そこに入りました。

後で分かったのですが、この建物はAllegroに乗るための専用の改札口があるビルで、待合室や売店とともに、両替所も設置されていたのです。

ホテル代も含めて、3万円くらいを両替しました。結果、だいぶ余りましたね。ルーブル安、ありがとう。

ホテルは鉄道駅から離れているため、地下鉄を利用しました。

フィンランド鉄道駅の最寄駅「Площадь Ленина(プローシャチ・レーニナ)」から、ホテルの最寄駅「Площадь Восстания(プローシャチ・ヴァスターニヤ)」までは、1号線で2駅です。

地下鉄の入り口には「Метро(メトロ)」を意味する「M」の文字が大きく掲示されていて分かりやすいです。

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地下鉄の入り口近くにたむろするハト。寒さのせいか、それとも栄養が良いのか、ふくふく丸々としています。

窓口で、ロシアの地下鉄用コイン「ジトン」を買います。

ジトンは乗車1回につき1枚必要で、これを改札ゲート右側の穴に入れ、緑のランプが点いたらゲートのバーを向こう側に倒して進みます。何回乗り換えようと、どこまで行こうと、改札から出ない限りは1枚でどこまでも行けます。

ただ時間制限はあった気がしますので、1日中乗り続けるのは無理だったような・・・これはちょっと定かじゃないです。普通に乗る分には、まったく問題ないです。ジトンは戻ってこず、改札を出る時はそのままゲートのバーを倒せば出られるようになっています。

窓口のご婦人が、こちらを見ています。けっして優しい眼差しではありません。

NHKの「テレビでロシア語」で学習した成果を試す時が来た!

ちなみに窓口は全面ガラス張りで、台と接する一部分に、ごくわずかなすき間が開いています。腕も通らないような狭さの穴の下には、えぐるような形でくぼみがあり、そこからお金やジトンのやり取りをします。

防犯対策の本気度がガチです。おそらくこのガラスは防弾なのでしょう・・・

窓口に立ち、通じるかな?と不安に思いつつ「Один жетон, пожалуйста(アジン ジトン パジャールスタ)」(ジトンを1枚下さい)と告げました。

ご婦人は眉一つ動かさず、コンコン、と窓口に貼られた紙を指先で示します。

そこには、いくつかの数字が書かれていました。

大半が読めない。しかしながら、一番下に書かれていた「Жетон 31p」だけは理解できました。これは、ジトンが31ルーブルであるという意味だろう!(ロシア語のアルファベットであるキリル文字では「P」を「アール」と読むので、ルーブルの頭文字は「P」になります)

51ルーブルを渡すと、ジトンとお釣りの20ルーブル硬貨が返ってきました。

買えた!買えたよー!

「Спасибо(スパシーバ)!」(ありがとう!)と言うと、ご婦人は少しだけ眉を動かして答えました。

ちゃんと通じたのが嬉しくて、ご婦人が投げつけるようにジトンを渡したことなど気になりませんでした。というか、窓口の構造上、勢いを付けて滑らせないと届かないから、いささか乱暴な感じになってしまうのも致し方ないのだと思います。

でも連れはものすごく嫌がっていて、最後まで慣れることができなかったです。最終的に、なるべく窓口で買う回数を減らすために、ジトンをまとめ買いするという策を取っていました。

連れに値段を教えて、自力で買うのにチャレンジしてもらいました。ロシア語は話せないにしても、なんとか英語で購入できていました。

今にして思えば、早い段階から少しでもロシア語での挨拶くらいは覚えてもらっておけばよかったですね・・・

当然ながら、カタコトでも自分の国の言葉を話す旅行者と、まったく話さない旅行者とでは、現地の人の対応が全然違ってきますもの。

連れがロシアに対して拒否反応を示す前に、Спасибоだけでも教えておけば、もうちょっと楽しめたんじゃないかなと反省しています。

 

改札を通り、ホームへと向かいます。

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ロシアの地下鉄は深い、そしてエスカレーターは速い。体感で日本の2倍くらいですね。

ロシアの地下鉄のホームは、装飾が美しいことで有名です。各駅ごとにテーマがあり、モスクワでは地下鉄めぐりツアーがあるほどで「無料の美術館」とも言われています。

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サンクトペテルブルグはそれに比べれば地味めですが、充分きれいでした。

車両の中は日本と変わらないです。ただし止まる時はけっこうな急停車で、「事故ったのか?」というくらいガコッ!ドコッ!と音がします。要は運転が荒い。

周囲は慣れたもので、ヨロヨロする我らを尻目に、どっしり構えています。

長いエスカレーターを昇り、改札を出て地上へ着きました。

目の前に広場があって、左手はモスクワ鉄道駅、正面にはお洒落デパートがあります。

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このデパートには、プラダとか、グッチとかの高級ブランドがテナントに入っていました。日本でいうと高島屋みたいな感じ?

こちらを左手に見ながら、わりと大通りっぽいリゴーフスキー通りを南下します。

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微妙にくすんだ色合いの建物と、キリル文字が溢れるロシア感満載の街並み。この時点では、英語表記の案内看板がまったくないことに気づいてはいませんでした。

事前に調べたホテルまでの地図はざっくりしたものでしたが、駅から徒歩5分だというし、地図も住所も書き取ってきたし、すぐに分かるだろうという考えが甘かった・・・

まず大前提として、地図が間違っていました。

もちろん、それらしき建物など見つかりません。

行き過ぎてしまったのに気づいて戻る時に、突然携帯で地図を見せながら男性が話しかけてきました。怒涛のようなロシア語で、何かを必死に質問しているようです。

私たちはバックパックを背負った東洋人の二人連れ、どう考えても旅行客だろう!?

なぜ周りにいくらでもいる地元民に聞かない?見る目がないにもほどがあるだろう!

静かに「Het」と答えた私に、彼は落胆したようすで去っていきます。

がんばれ!青年よ。私もがんばる。

リゴーフスキー通りを何往復もして、自力で見つけるのは無理だと悟ったため、道を尋ねることにしました。

最初に聞いたのは、デパートの警備員さんです。

「Excuse me?」と声をかけましたが、困惑した表情で首を振っています。

もしかして・・・英語が通じないのでは・・・

そこで、おそるおそるロシア語で「Извинйте(イズビニーチェ)」(すみません)と言いました。

すると「Да(ダー)?」(はい?)と聞く態勢になってくれました。

「Скажите, пожалуйста, Где это・・・(スカジーチェ パジャールスタ グジェ エータ)」(教えていただけますか、ここはどこ)と言って、地図上のホテルを指差しました。

「これがリゴーフスキー通り」と、かろうじて分かっている情報を伝えます。

警備員さんは、あっちだよ的に方向を示した後で、いろいろ説明してくれましたが、それが分からない・・・

とりあえず方向は正しかったらしい。それだけでたどり着けるはずもなく、次は薬局に入って道を聞きます。接客業だし、英語が通じるかもという希望を託しました。

しかしここでも、「Excuse me?」には渋い顔&首振り。

またロシア語で同じことを聞きましたが、住所は分からないのよね的な返事。

そこでホテルであると伝えるため、「Гостиница(ガスチーニッツァ)」と言ったら、パッと明るい表情になり、手招きして隣のビルへ連れて行ってくれました。

2階がホテルだというのです。

地図とはまったく場所が違うけど・・・と思いながらも、階段を上がってフロントへ行きました。

ここはEl Rooms Apartmentsですか?と予約したはずのホテル名で尋ねましたが、「Het」が返ってきました。一応、地図を指しながら場所を聞いたけど、「知らない」とのこと。さすがに英語は通じました・・・

重い足取りで階段を下りていると、背の高いお兄さんがホールにいました。めげずに再び道を聞きます。

実はさっきの薬局でのやり取りで、「住所」」が「Адрес(アドリェス)」だろうと掴んでいました。

今度は「Скажите, пожалуйста, Где это адрес?」(教えていただきたいのですが、この住所はどこですか?)と聞きます。

お兄さんは私たちを連れて外へ出て、連れてってくれるのかなーと思いきや、指で地図の形を作りながら一生懸命説明してくれます。

さすがにこの辺りで、地図に書かれている場所が、ホテルが実際にある場所とは違うらしいと理解しました。

なんとなく分かった気がする、とお兄さんにお礼を言って別れましたが、まだ見つけられません。

そこには「ホテルの看板などの分かりやすい目印が出ていない」という第2の罠が潜んでいたのでした。

ゆえに、どれだけそれらしい場所を探してみても、見つかるはずがないのです。

疲れ果てた私の脳裏を、ネットで見たロシアの都市伝説「宿泊料が安いホテルをネットで予約して現地に行ったら、そのホテルは存在せず、ただの民家があった」がグルグルと回り始めます。

最悪、見つからなかったらさっきのホテルに泊まろう・・・そう覚悟を決めつつ、ちょっとレトロな感じの映画館に入り、英語が通じるかもという期待をやっぱり裏切られながらも、マダムに道を尋ねました。

非常につっけんどんな態度でしたが、マダムは住所をご存知のようでした。

ここを出て奥だ、と言葉では分からねど、彼女の身振りで理解しました。

大通りから一歩入った奥の路地は、足を踏み入れるのを躊躇するような雰囲気です。

 

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右手に見えるゲートは左右両方にあって、これが閉じられたら出入りができなくなります。

アスファルトは所々に穴が開いており、建物の壁も壊れて剥がれ落ちている箇所がいくつもあります。言葉を飾らずに表現すればスラムっぽい。

怖い、でも、行くしかない。

どこにもホテルの案内看板はなく、ホテルがありそうな雰囲気でもありません。

これで駄目だったら、さっきのところに行こうと、最後のつもりで車に荷物を積んでいるご夫婦に声をかけました。

さすがにご近所さんだったのか、「この住所ならこの建物よ」と奥さんが前まで連れて行ってくれます。

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ひとん家感がハンパないんだが・・・

奥さんはメモ帳に書いた住所を指差して「ここ、ここ」と断言し、行ってしまいました。

とりあえず、ドアに近づきます。

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どうやって開けるんだこれは。

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手がかりがない。

多分この数字ボタンを押して、どうこうするんだよね?

ここまできたら、もうどうにでもなれ!という気分です。とにかくやたらに押しまくりました。

するとビーッという電子音がして、カギが開いた気配がします。この機を逃してなるものかと、ドアに手をかけると開くではありませんか。

中に入ると、可愛らしい女性が部屋のドアから半身を出して、こちらを訝しげに見ています。

すかさず「Извинйте, Скажите, пожалуйста, это адрес?」(すみません、お尋ねしたいのですが、ここの住所ですか?)とメモ帳を見せて聞きました。

女性は少し表情をやわらげて「Да」と答えました。よかった・・・ここで「Het」と言われたら、泣くとこだったよ。さらに気を緩めずに「Гостиница?」とたたみかけます。

女性はまた「Да」とうなずき、上を指差しました。

そこでやっと、ホテルの住所の中にあった「209」の意味が分かりました。この建物の209号室、つまり2階にあるってことだ。

心の底から「Спасибо!」とお礼を言って、階段を上がりました。

そして現れたのがこのドア。

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ホテル・・・なのか?

ようやくたどり着けたと思って安心したのに、またもハンパないひとん家感。

ああ都市伝説が脳内をエンドレスローリング。

もうどうにでもなれ!(2回目)。間違ってたら謝りゃいいんだ!

右上のブザーを押しました。

反応なし。

中で音がした気配もありません。

もう一度押します。

やっぱり反応なし。

心がポキっといく音が聞こえそうです。

やったるわい!とばかりに渾身の力を込めて押し込んでやりました。

とうとうブーッという長い音が鳴り響きました。

ドアが開き、にこやかな男性が現れました。そのまま私たちを招き入れてくれます。

中は広くないものの、ホテルのロビー、みたい?

ひょっとしてビンゴ?

男性が口を開きます。「Are you Emiko?」

キタ―!!!!!!

「イエーーース!」

「Welcome!」

男性はホテルのオーナー、Dmitryさんでした。

「Finally I found it!」(ついに見つけたぜ!)

拳を突き上げて叫びソファに倒れ込む私を、Dmitryさんは微笑んで見ています。

ていうかホテルの看板くらい出しとけや!あとブザー接触悪すぎ!

冷静になって振り返ってみるとそう思うけれど、その時は無事に着いた喜びでいっぱいでした。

お部屋やバスルームの説明を受け、フリーで飲めるコーヒーを勧められ、サンクトペテルブルグの地図をいただき、Dmitryさんに直通でつながる携帯電話も貸してもらいました。

うん、ホスピタリティにあふれた人なんだよ。英語めっちゃ通じるから楽だし。ホテルは清潔で、内装も可愛い。

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ピンクを基調にしたカラーリング&花柄の壁紙がガーリー。

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ぬいぐるみやオブジェが置かれていたり、

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カーテンもシーツもピンクですぜ。

だからもうちょっと地図を正確に、そしてホテルだと外からも分かるようにしてほしい・・・中は快適で素晴らしいんだから。しかもリーズナブルなんだから。

でもだんだん、このピントのはずれ方がロシアなのかもなーと愛おしくなってくるんですよね。

室内には、電子レンジ・冷蔵庫・電気ケトル・テレビを完備。浄水済みのウォーターボトルも置いてくれています。

紅茶のティーバックと小袋入りクリープも置いてありますが、どっちも箱に半分くらいしか入ってなくて使いまわし感が漂います。それはまあ、微笑ましいかな。

紅茶のメーカーが「Lipton」じゃなくて「Liston」なのも、脱力して笑えました。大胆なパクリなのか、それとも地元ブランドなのか。

 

駅からスムーズに着けば5分の道を、かれこれ1時間弱さまよった私たちは、ひとまずListonを飲んでひと息つくことにしました。

迷っている間、連れは役にこそ立ちませんでしたが、文句をいっさい言わないでくれたので、それだけでずいぶん気が楽でした。何か言われてたら、確実に戦いが勃発していたでしょう。

列車の時間が早かったから、ゆっくり休憩してもまだ13時前です。

そろそろお昼ご飯も食べたいし、軽くぶらつこうかと街へ出ました。

午前中程ではないものの、ロシアは手を緩めることなくジャブを繰り出してくるのでした。

考えてみれば、まだロシアに来て2時間くらいしか経ってない・・・

ヘルシンキ2日目 後編~動物園はどこかせつない

(前回のおさらい)

ヘルシンキには、古本の妖精(※おじさん)がいる。

 

そろそろお昼近くになることだし、動物園に行って中で何か食べようかなんて話しながら駅へ向かいます。

駅前には、毎年恒例のスケートリンクが作成されていました。

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冬になるとヘルシンキ中央駅の広場に作られます。貸しスケート靴があれば、やってみたいなー。

 

ヘルシンキ動物園(Korkeasaari)への主なルートは2つ、フェリーまたはバスです。

フェリーは5月から9月まで運航しており、港のマーケット広場と、ハカニエミから乗ることができます。

しかし私たちが滞在していたのは12月。もう一つの方法、バスを利用しました。

ヘルシンキ中央駅の3番乗り場から出る16番バスに乗ると、20分くらいで到着します。

以下は16番バスの時刻表です。

HSL - Timetables - Helsinki 16

フィンランド語ですが、左側が駅からの時刻表で、右側が動物園からの時刻表です。上段が平日、下段が土日です。

動物園は終点にありますので、降り間違える心配はないと思います。

チケットは乗車時に運転手さんから買えます。行き先を「I would like to go to Helsinki zoo」と告げると料金を教えてくれます。だいたい5ユーロくらいだったような・・・。帰りは「I would like to go to Helsinki central station」と伝えれば大丈夫。

 

動物園は1年中開園していますが、クリスマスイブだけはお休みなので、ご注意を。

オープン時間は

1月~3月が10時から16時

4月が10時から18時

5月~8月が10時から20時

※ただし6月の夏至祭イブには、10時から17時に短縮されます。

9月が10時から18時

※今年は「Cats Night(猫たちの夕べ)」というイベントがあり、16時から24時までオープンしているようです。

10月~12月が10時から16時

※今年は10月4日に、10時から18時まで無料で入園できるイベントがあるようです。創立記念日的なもの?と推測しています。

最新情報は、公式サイトでご確認下さい。

Korkeasaari

チケット代は、年齢によって分かれています。成人は12ユーロ、4歳以下は無料、4歳から17歳は6ユーロ、学割&シニア割が適用される方は8ユーロです。

ヘルシンキカードを提示すると、成人は2ユーロ・子供は1ユーロを割り引きしてくれます。

ヘルシンキカードとは、ヘルシンキ市内の公共交通機関が乗り放題に、市内の美術館や博物館の入場料も無料になる、ツーリストには便利なカードです。その他にも一部のレストランで割引特典が利用できます。

24時間、48時間、72時間の3種類から選べます。それだけ特典があるからには値段もそれなりですが、長期間のカードほどお得になっています。特に、美術館・博物館を訪れるのが目的であればマストだと思います。

24時間は44ユーロ、48時間は54ユーロ、72時間は64ユーロです(すべて大人料金)。子供料金(7歳~16歳)は、この半額になります。

ツーリストインフォメーションで買うことができます。

インフォメーションの場所は、こちらからどうぞ。

Tourist Information | Visit Helsinki : ヘルシンキ市の公式観光情報サイト

こちらのサイトからは、事前にオンライン購入が可能です。(英語サイトです)

Home - Helsinki Card

 

ポクポクとバスに揺られ、街を抜けて海辺に着きます。 潮の香りは、それほど強くありません。

チケット売り場のさわやかイケメンが、「そこにあるマップを持って行ってね」と勧めてくれました。

フィンランド語とスウェーデン語しかないけどね!

海に架かる長い橋を渡れば、木彫りの熊(本格派)が出迎えてくれます。

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がおー、でかいぞー。

でも角度を変えると「シェー」みたいに見えるよ。

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すぐ近くに存在感ありすぎのトカゲ?がいて、「どういうことかしら・・・」と戸惑わされます。

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なぜ君はここに?

 島が動物園になっていますから、自然な起伏があって、見て回るだけでけっこういい運動になります。

しばらく丘を進むと鳥ゾーンです。フクロウが冬毛ふわっふわで、とても可愛い。この辺りは興奮しすぎて写真を撮るのを忘れています。

それから、わりと無造作にごちゃっといるウサギゾーン。

少し坂を上るとガラスの大きな温室があり、中は熱帯の生き物ゾーンです。

自動ドアが開くと、もわっと湿気を含んだ暖かい空気と獣くさい匂いに包まれます。

おお、これこれ。動物園はこうじゃないと。

かなり高さのあるガラスの向こうで、猿たちが縦横無尽に飛び回っています。一定間隔を壁で仕切られていますが、上の方に穴があって、すべてつながっているみたい。

鳥たちのゲージは、つかまれるように網になっているので、そのぶん鳴き声がダイレクトに聞こえます。グギャーギョエーケッケッケッケッ・・・なんだかワクワクしてきます。南国の花みたいに鮮やかな羽根の色が、わさわさ生えた植物の間からのぞくのが美しく楽しい。

スロープを下りた半地下は爬虫類ゾーンです。

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ピクリとも動かないワニ。至近距離で見つめあえます。

スロープの先にはまた別の部屋があり、どういう区分かは分かりませんが、もこっとした小さな生き物たちがいました。

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「高原の哲学者」とも称される、思慮深げに空を見つめるナキウサギ。意味ありげなたたずまいは、名優モーガン=フリーマンに匹敵すると思われます。

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この子がなんなのかは分からないけど、おしりが可愛いのでそれだけでオッケー。

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やっとこっち見てくれた!

ハアハア・・・可愛すぎるだろ!

長時間の興奮状態が続いたため、かなりお腹が空いてしまいました。

ここらでお昼ご飯です。温室の近くにあるレストランに入りました。

休憩所を兼ねているようで、入ってすぐは机とイスが並んでいるだけの部屋です。奥に進んでいくとビュッフェ形式のレストランがあり、好きなものをピックアップしてレジに持っていくスタイルみたいです。

ビュッフェが狭いわりに、店自体は広かったので、もしかしたら夏季のオンシーズンには違った営業スタイルを取っているのかも。

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なにかのキッシュ(※レシートを見たらトナカイの肉でした)、甘そうなパイ、オレンジジュースを選びました。連れは同じキッシュと、シナモンロールです。

キッシュを温めたかったので「Can I get it warm?」(温められる?)とレジのお姉さんに聞くと、ビュッフェを出たところに設置されている電子レンジを自由に使っていいとのことでした。専用のフタがあって、温める時は必ずかぶせなければいけないそうです。

キッシュがクリーミーで美味しかった!パイはいささか甘すぎでした。連れはキッシュが口に合わず残すというので、それもいただきました。

 

お腹を満たした後は、猛獣ゾーンへ。離れた場所からでもライオンの咆哮が聞こえます。

 檻のメチャクチャ近くにいました!空気を切り裂くような吠え声が、鼓膜をビリビリ震わせます。人生でこんなにライオンに接近したのは初めてです。やっぱりかっこいいな・・・

ここでも目の前で見るのに夢中で、写真は忘れてます。

ぐでっと寝そべるトラの毛皮模様の優美さ・・・チーターの背中から脚へと続くアールの効いた曲線の洗練・・・ユキヒョウの氷河みたいに透明度の高い青い瞳とモフモフした太めのしっぽ・・・

触りたい!でも近寄ったら瞬殺だね!

ウロウロ歩き回るユキヒョウに、ムツゴロウ感満載の「かわいいねー、いい子だねー」と呼びかける私を、親子連れが生温かく見守っています。

ちょーかわいいよね!という想いを込めたギラッギラの目で見返すと、ママさんもお子さんも優しく微笑みと頷きを返してくれます。

ヤバい人と思われてないかしら、大丈夫かしら。

しかしそこで、連れがやらかしました。

写真を撮るために、歩き回るユキヒョウを呼び寄せようとガラスを叩いたのです。

・・・許すまじ。

それが彼らにとって幸福なのか不幸なのか確かめようがないけれど、ただでさえ人間の都合で狭い場所に閉じ込められて、不自由な暮らしを強いられているのです。その姿を見せてもらえるだけでありがたく、なるべく彼らの邪魔にならないよう、ひっそりのぞかせていただくのが筋だろう!

とは思っているものの、他人に考えを押しつけるのも良しとはしない。

厳しめの声で「そういうの、やめなよ」とだけ言いました。

連れは「あ、うん」とやめてくれました。

響いたんだか響いてないんだか分からない返事ですが、聞き入れてくれるだけでありがたいです。

同じように振る舞えなんて思わないし、思いたくないもの。

気持ちを切り替えるため、1人で歩き出しました。坂を下ってワシの獣舎へ向かいます。

また海が見えてきました。これで島を横断したことになります。

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対岸にヘルシンキ大聖堂が小さく見えます。

ワシのいる檻はかなり広くて高く、小指くらいの大きさでしか姿を確認できないけど、君にとっては狭いだろうねと、やっぱり少し切なくなってしまう。

ここが島で、自然の雰囲気が感じられるから、檻で隔てられた彼らが余計に閉じ込められているように見えるのかもしれません。

ワシの隣はアイベックスです。浜崎あゆみやAAAのいるレーベルではありません。それはエイベックス・・・すみません、しんみりした気持ちを払しょくしようとしたくて無茶を言いました。

好きなんです、アイベックス。ヤギ属の小柄な体躯ながら、急峻な山腹をトントントーンと駆け上がっていくのがかっこよくて!

あまり日本の動物園では見ないので、本物を見れて嬉しいです。

崖上のはるかてっぺんにいらっしゃるのを、「おお・・・」と見上げていたら、気付かれたようです。

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近くまで下りてきて、ガッツリ目が合いました。

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この後でもそうなんですが、彼らは好奇心旺盛なのか、近くまで寄ってこちらを見に来ます。

東洋人が珍しいのかな?ちょっと違う臭いがするんだろうし、興味があるのかもしれません。

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トナカイもまた物見高い。

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檻をはむはむしながら、ガンを飛ばしてきます。

さっき君たちの仲間を食べたんだよ、美味しかった。ありがとう、ごめんね、ありがとう、というまだら模様の気持ちで見つめても、特に伝わらないし、どうでもいいんだろうな。

そしてクマにも気づかれるが、

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既読スルー。

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ムースも振り返る。

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バイソンもガン見。

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近づいてもしっかり目線をくれます。意外と瞳がつぶらでキュート。

この時は「バイソン先輩かっこいいっす!バイソン先輩素敵っす!」と歓声を上げながら写真を撮っていました。なんで先輩・・・? 今となってはさっぱりわかりません。

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フタコブラクダもチラ見。

そうこうしているうちに日が暮れてきました。まだ15時半くらいなんですけどね。

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「きれいだね」

「うん、今度は彼女と見たいなー」

「ちっ、リア充め!」

そうです、連れは今回の旅の直前に彼女ができていたのです。

彼女とは私も知り合いで、旅行について了承は得ています。昼ドラ的ドロドロ展開は起きませんのでご安心下さい。本当は彼女も一緒に来たかったらしいのですが、都合がつかず断念しました。3人も楽しそうでよかったかも。

ぐるりと周って、またレストランに戻ってきました。

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日が落ちてくると、じゃっかん禍々しい。私たちがヘンゼルとグレーテルだったら、絶対ここには入らない。

閉園時間がせまっていたので、サカサカ入口を目指します。もうすっかり人気がなく、中にいることを気づかれずに出られなくなったら間違いなく凍死だね、そうしたら温室に避難しようね、と策を練りつつ速足です。

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再びの熊。

橋の上がものすごく風が強くて、手を広げて力を抜くと勝手に前進していくのが面白かったです。

急いで外に出て、バスの時間までショップでお買い物。エコバックと、ライオンとラクダのピンバッジを購入しました。レジのお姉さんが可愛くて感じよかった。

バス停にはちびっ子&ママさんがいて、ちびっ子はこちらに興味津々のようす。「ハーイ」とか手を振っていたら、連れが彼らの写真を撮りました。

「えっ」と驚いた私と、ママさんの目が合います。

・・・うーん、無断で撮るのはやめようか。カメラ見せながら「OK?」くらい言えるだろうに。許可を取るべきだっていう発想がないんだろうなー。人によってはガチ切れされるよ?

その場で指摘するのはやめました。君はもう、いつか痛い目を見てくれ。

写真を撮るのが好きな人って、撮りたい気持ちが先行して被写体の都合や気持ちを置き去りにしてしまうことがあるからな・・・自戒も込めて気をつけましょう。

 

街へ戻って来てもまだ17時くらいです。ホステルに帰るには早いし、軽くぶらぶらします。

連れはお土産を見たいとのこと。引きこもり在宅ワーカーの私と違い、各方面に頼まれているらしい。リア充もたいへんですな。

フィンランドのリビングウェアブランド「イッタラ」で、フクロウを買ってくれと頼まれたというので、エスプラナーディ通りのイッタラショップへ。

どんな商品なのかを把握していない我々は、ショップ内をさまよいます。

するとシャレオツなスキンヘッドのガイに「Can I help you?」と声をかけられました。

フクロウを探してるの、と答えると、Owlならこっちだよとガラス製のフクロウを見せてくれました。

一つひとつ職人の手作りで同じものはないのよ、ほら見て、と説明してくれます。

話し方といい、しぐさといい、脳内オネエメーターの針が振り切れそうです。

どうもありがとう、でも私たちが探しているのはこれではないんだ、と伝えると残念そう。今日は下見だけだったため、サンキューと言って店を出ました。

定番のマリメッコをのぞいてから、一度ゆっくり見たかったアカデミア書店に入りました。

世界のどこでも、本屋さんの空気感は似たものがあるなー。1階は雑誌と新刊、2階には専門書売り場とカフェ・アアルトがあります。

フィンランドが生んだ20世紀を代表する建築家、アルヴァ・アアルトがデザインしたアカデミア書店は、入り口ドアの波型ハンドルデザインからも、アアルトの思想が伝わってきてうっとり。回廊式の3層吹き抜け構造は、すこんと抜けた開放感が心地よいです。

記念に、ペンギンブックスのエコバッグと、オスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」を買いました。装丁がポップで可愛くてひと目惚れしたのです!

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(※この本、現在入手できるものは装丁が変わってしまっているみたいです・・・私が持っているのはグレー地にピンクでペンギンの絵が描かれているもので、ペンギンブックスという出版社のフェア用に作られていたものだったようです)

雑誌をチェックしているうちに、小腹がすいてきました。2階のカフェ・アアルトでお茶をしばきます。

ここは映画「かもめ食堂」で、サチエさんとミドリさんが出会って、ガッチャマンを歌うシーンで有名ですね。何度も見てるけど、こんなふうだったかしら。

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映画ではもっと広い印象がありましたが、わりとこじんまり。地元っぽいお客さんばかりです。

ストロベリータルトとカプチーノを頼みました。普段はコーヒーを飲まないから、ラテアートの実物を初めて見ました。ささやかなディテールって、心をはずませるものですね。

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どっちも美味しくて、しばしまったりくつろぎました。

明日からのロシア旅行への意気込みなどを語り合います。サンクトペテルブルグ行きの列車が6時12分発しか取れず、5時半にはチェックアウトしておきたい。なかなかに辛いスケジュール。到着は10時48分。時差が1時間あるので、乗車時間は3時間半くらいです。

今夜は早めに閉店ガラガラしないと、明日にひびきます。

書店を出て、朝食を買うべくスーパーへ。帰り道にある24時間オープンのSIWAに寄りました。

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エスプラナーディ通りの端っこにあります。港とは反対側の、マンネルヘイム通りと交差する辺りです。Sマートよりちょっとオシャレな、ナチュラルフード系が多い品ぞろえでした。

ホステルに戻ってからは、一日中歩き回った疲労もあって、のび太ばりの3秒で就寝。翌日は4時にスッキリ起床です。ライ麦パンのサンドイッチを食べながら、本棚にたまたま置かれていた「旅の指さし会話帳 ロシア」をめくります。

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ロシア語に不安があるし・・・またここに戻ってくるし・・・という理屈を付けて、無理を通してお借りしました。ちゃんと後日返却しました!でもすみません!バチが当たったのか、現地ではまったく使いませんでした。悪銭身につかずとはこのことか。

 

次回からは馴染みのあるヘルシンキを離れ、未体験の地ロシアです。

勉強してきたロシア語はどこまで通用するのか?

治安はどうなのか?

まずはホテルまでたどり着けるかしら?

不確定要素だらけの新たな局面へ、おそるおそる足を踏み入れます。

ヘルシンキ2日目 前編~今日もおじさんに声をかけられたのは運命か何かかもしれない

北欧の冬の夜明けは遅い。しかし我々の朝は早い。

前日、22時くらいには寝てしまったので、6時には目が覚めていました。

キッチン兼共有スペースに行くと、暗い顔をした長髪のヒッピーぽい旅人が、ソファで膝を抱えています。

なんとなく目で挨拶しましたが、スルーされました。

こういう人はどこにでもいる。外人だからって、みんながみんな陽気なわけではないのだ・・・そっとしておきましょう。

ぼんやり朝ごはんを食べていたら、連れが現れました。よく寝れなかったんだろうな、という顔をしています。

もともと不眠症気味で、眠りが浅いのは聞いていたので、それが原因で体調を崩すのではと心配していました。

眠れた?と聞けば、そこそこという返事。うーむ。

のんびりご飯を食べて、お茶を飲んでいるうちに小一時間経っていました。

急ぐ旅でもないが、予定を決めたことだし動き出そうかと、準備を整えて街へ出ます。

まずは朝から開いているというマーケット広場へ。

一応、観光名所であるエスプラナーディ公園を通っていきます。

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夕方のようですが朝8時くらいです。

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 12月なので、こんなディスプレイも。

マーケット広場は港沿いに広がっていて、夏はもっとにぎわっているんだろうなーという感じです。

毛糸の帽子を売っている女性と少し話をしました。すべて手編みとのこと。すごく熱心に説明してくれましたが、残念ながら買いたい気持ちにはならず、お礼だけ言って立ち去りました。

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ほぼ観光客、まれに地元の方という雰囲気。そして日本人女性が多いです。女同士二人組か、一人旅が大半なのが特徴です。私たちのような男女2人組(カップルではない)は珍しいのかも。

日本以外のアジアからは団体さんが多数派で、欧米は家族連れ又はカップルが多いです。

オフシーズンだからか、それほど混みあってもおらず、太陽も昇っていないので薄曇りの空の下、フィンランドの首都のはずなのにどこかひなびた港の風景は、どことなく日本海。おしゃれだが日本海

頭の中で鳥羽一郎の「兄弟船」が鳴り続けています。

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なみの~たに~まに~いのちの~はな~が~

JASRACが怖いのでこのくらいにしておきますが、とにかくエンドレスで音楽がループする現象、イヤーワーム(earworm=耳の虫)に、遠い異国でもさいなまれています。

人間、海外に行ったくらいでは性質は変わらないのです。

「兄弟船」を口ずさむ私に、連れは奇異な目を向けてきます。

それには構わず、すぐ傍にあるオールドマーケットホールへ。

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なにげに入口が自動ドアで驚きます。

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しかしまだ時間が早いため、どこも準備中で閑散としています・・・ですよねー。

ぐるりと一周しただけで、また開いてる時に来ようねと観光に戻ります。

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なみの~たに~まに~・・・

港から見ると、ちょこんと頭がのぞいているヘルシンキ大聖堂へ向かいます。

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ばばーん。

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白い!きれい!月並みな感想!

来るのは二度目ですが、前回は礼拝中で入れなかったので、今回見学できたのはラッキーでした。

とはいえ社会見学かなにかでしょうか、学生さんたちが礼拝堂の前方に集まって話を聞いています。

お邪魔にならないように少しばかり覗かせてもらってから、サクッと外へ出ます。

大聖堂の前にある元老院広場では、クリスマスマーケットのブースが並んでいます。ここもまた、開いてる時なら楽しいんでしょうなー。

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大聖堂を背にして写真を撮っていると、あるものに気がつきました。

建物の向こうにチラ見えするシリアラインです。

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バルト海クルーズの豪華客船、憧れのシリアライン!

ツーリスト| タリンクシリヤラインでの バルト海クルーズへようこそ | - Tallink & Silja Line

いつか乗ってみたいと思っていましたが、その姿を間近で見られるなんて!すぐさま港へ戻ります。

おお!

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青と白のカラーリングがさわやかだわー、マスコットのアザラシさんの笑顔もまぶしいぜ。

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丘に登って上からも撮るのさ!

いやはやテンションMAXでしたわ。いつか・・・いつかきっと!

 

興奮冷めやらぬまま丘を下っていくと、ものすごく気になる店がありました。というか気になる存在が。

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ステーキハウスの看板牛・・・?

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親近感の持てるお腹のライン。

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けっして目は笑っていない。恨み~ま~す~(by 中島みゆき)

http://amzn.to/2nl4W6z

『うらみ・ます』収録『生きていてもいいですか』(アルバムタイトルもすごい)、中島みゆきさんの初期を代表する名盤だと個人的には思います。

看板牛を激写していたら、通行人に笑われました。

 

そんなウキウキウォッチングのさなか、小さな本屋を見つけました。

ガラス張りのウィンドウからは、色鮮やかな書籍がディスプレイされた店内をうかがうことができます。店の前にはワゴンが置かれていて、「1€」と書かれたポップがぶらさげられています。

素敵やん、などと手に取ってパラパラめくっていたら、目の前を通り過ぎた自転車がキキッと止まりました。

「ここはいい本屋だぞ!」

おじさん登場です。

「ワンユーロ!ワンユーロ!」

ワゴンをグルグル指さしながら、必死に訴えてきます。

このワゴンの中の本は全部1ユーロだよって教えてくれてるんだね?知ってるよ!

でもなぜ私にピンポイントで・・・

「ワンユーロ!オール!」

すげーいってくんじゃん。目力もパねえ。ともあれ、彼の心意気は受け取らねば。

おもむろに、人差し指を立てる私。

「ykusi euro(ユクシ エウロ)?」(フィンランド語で「1ユーロ?」と聞いています)

はっとするおじさん。重々しく「yksi euro」と頷きます。

私もまた、ワゴンの上に手を広げて「yksi euro」と頷きを返します。

最小限の言葉で最大限のコミュニケーションだ・・・

満足げな表情を浮かべたおじさんは、もう一度「ここはいい本屋だ!」と言い残し、自転車をキコキコいわせながら去っていきました。

古本の妖精さん

なんだろう、この1日1おじさんのペースは。

連れはやっぱり空気になり、私&おじさんの2ショットを撮りまくっていたのでした。

 

まだまだ先が長いので、いったんここで分けますね。

次回はヘルシンキ動物園編です。

ヘルシンキ1日目~ご機嫌なおじさんと盛り上がる

(前回のあらすじ)

セントレアと成田から出発し、それぞれフィンランドを目指した我々は、無事にヘルシンキ・ヴァンダー空港での現地集合を果たしたのであった・・・

 

空港からホテルへ向かうべく、ヘルシンキ中央駅行きのフィンエアーシティバスに乗り込みます。

バス乗り場は、入国ゲートを出てすぐ右手にある自動ドアを出ると、左方向にあります。車体にフィンエアーのマークが描かれているので、見つけやすいです。

時刻は17時を過ぎていますから、空は真っ暗です。道路の端には除雪された塊が積み重なっています。

「暗くなるの早いね」

「緯度が高いからねー、ヘルシンキだと12月の日照時間は6時間くらいだよ」

車窓を過ぎていく風景が、しだいに見覚えのあるものになっていきます。

ヘルシンキ中央駅は、駅舎の上部に丸い照明を持った4人のマッチョガイをあしらった、コンセプトが謎のデザイン。彼らはフィンランド国鉄VRのイメージキャラクターになっています。

バスを降りると、刺すような冷たさに包まれます。

「さっむ!」

慌ててダウンコートの下にフリースを着込む私の横で、連れが夢中で写真を撮っています。

とりあえずチェックインして荷物を置いてから町をうろつこうと、うっすらした記憶を頼りに、ホステル・エロッタヤンプイストへ向かいます。

Home - Diana Park

マンネルヘイム通りを南下して、undenmankatuという路地を右折してしばらく進むと右手にホステルがあります。

途中で、おじさんに声をかけられました。

「Hei!」

ほろ酔いかげんで、ニコニコご陽気なようす。連れはスルーしようとしましたが、話しかけてみたいだけの人かなと思い、「Hei」と返事をしました。

「Hei」はフィンランド語の「やあ」って感じで、英語では「Hello」的な挨拶です。

それで終わりかと思いきや、英語で「どこから来たの?」と続けます。

「日本からだよ」と答えたら、「Welcome to Finland!」と歓迎ムード。うん、ただの楽しい酔っぱらいだね。

「日本のどこから?」「フィンランドではどこへ行くの?」「何日くらいいるの?」と次々と質問されたり、「ラップランドには行くべきだ」と勧められたり、けっこうおしゃべりしました。

おじさんは、ラップランドについて少し説明した後、フィンランドの文化を見たかったら、ヘルシンキだけ観光しても分からないよという意味で「Helsinki is not Finland」と言いました。

私がふむふむと頷いていると、さらに「Tokyo is not Japan」とたたみかけます。

これはリアクションがいるなと思ったので「What you mean, NewYork is not America. Right?」(つまり、ニューヨークもアメリカそのものじゃないってことね?)と言ってみます。

「Yeah, that's right!」意図が伝わって、おじさん嬉しそう。テンションアゲアゲです。

「それじゃあ、旅を楽しんでね!」と、ご機嫌で去って行きます。

この間、連れはずっと空気と化していました。

道々、さっきは何を話していたのか解説していたら、あっという間にホステルに着きました。

ドアの横にボタンがあり、押すとフロントに繋がってドアロックを解除してくれます。解除している間はブザーが鳴っていますので、さっさと中に入ります。

ホステルは建物の3階にあって、エレベーターは設置されていないため、えっちらおっちら上ります。

ヨーロッパのこじんまりしたホテルにはエレベーターがないことが多く、スーツケースを抱えて上るには、かなり苦労します。前回たいへんな思いをしたので、今回は反省をいかしてバックパックを選びました。

それに、石畳が敷かれていることの多いヨーロッパの道では、スーツケースだとガコガコうるさいし、段差に引っかかってへこんだり傷が付いたりしがちです。平地で重たい荷物を運ぶにはスーツケースの方が楽なんですけどね。

 チェックインをして、私は女性専用ガールズルーム、連れは男女混合ミックスルームへ向かいます。

一緒の部屋に泊まらないのを連れは寂しがっていましたが、私としては着替えもするし空きがあるなら女子部屋に泊まりたい。

連れも男性専用ボーイズルームに放り込んでやろうかと思ったけど、少々治安の悪い時もあるという情報を耳にしたため、慣れない連れには辛かろうと仏心でミックスルームにしたのです。むしろ感謝してほしい。

そしてこの、寝る時は別の部屋というのが後に功を奏しました。

友達同士でもカップルでもそうですが、それまで仲が良かったのに旅行中にケンカして楽しいはずの旅が台無し、その後音信不通に・・・というのはよく聞く話です。

スケジュール半ばのロシア3泊で、同じツインの部屋に泊まったものの、だれてくる後半にまた別々の部屋にしたからこそ、ケンカを避けられたのだと思います。

人間ですから、1週間24時間べったり一緒に居たら、ぶつかる時もありますよ。

 部屋には荷物を置いただけで、すぐロビーに集合して街へ出かけました。

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これはホテル近くのundenmankatuに入っていく曲がり角あたりです。実際より明るめに写ってますね。

Forum(フォーラム)というショッピングセンターをのぞいて、いろんなお店が立ち並ぶマンネルヘイム通りをぶらつきます。

どこかで食事をしようかという案も出ましたが、とりあえず明日の朝食を買うためにもスーパーに行ってみようという流れに。遅くまで開いているのを知っていた、駅前のデパートソコスにあるSマートへ行きました。

初めて入る外国のスーパーに、興奮を隠せないようすの連れ。価格は全体的に東京と変わらない感じです。

お水はガス入りの方が豊富で、ガス抜きのミネラルウォーターは気をつけて探さないといけません。

メインのパンは、陳列されたガラスケースから取り出して自分で袋に入れて秤に乗せ、パンの種類ごとに書かれている番号を押すと、バーコードが出てきます。それをレジで通してもらえばOKです。

いろんなお惣菜を選んでボックスに入れて、重さで値段が決まるセットでサラダやオリーブを買いました。

あと袋は有料なので、エコバッグ持参がおススメです。もちろん旅の記念に現地でエコバッグを買うのもよし。

買い物を済ませてホステルに戻る頃には、20時になっていました。

長時間移動して疲れたし、なにより時差でとても眠い。明日の予定を打ち合わせて、さっさと寝ることにしました。

午前中は港のマーケット広場と近場にある観光スポットを散策して、午後からは私のたっての希望によりヘルシンキ動物園に行きます!ここはコルケアサーリ島という島全体を動物園にしており、どうしても行ってみたかったんです。

下記、公式サイトです。言語はフィンランド語・スウェーデン語・英語・ロシア語を選択できます。

Korkeasaari

 この日の夜に、変圧器が使えない事件が起きたりしていたのですが、それを置いておけば平穏に過ごし、翌日に向けて英気を養うべく早々と床に就くのでした。

 

次回はベタなヘルシンキ観光&動物園を紹介します。

待ち合わせは現地集合~ヘルシンキ空港で僕と握手!

旅行中に撮った写真をいっぱい載せるぞーと意気込んでいたら、はてなブログの運営から「はてなフォトライフの今月の利用容量が上限に達したよ」というお知らせが届きました。

オーマイ・・・とりあえずAmazonの埋め込みリンクを止めてみましたが、どうなることか。

よい方法をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示下さい。

 

さて、2015年12月13日。

11時55分セントレアヘルシンキ行きの飛行機に乗るために、早起きして久しぶりに電車に揺られていたところ、フィンエアーから「飛行機が2時間遅れてるよ」というメールが届きました。

さっそく連れに連絡です。

ここで思い出していただきたい。

私は愛知県在住、連れは東京都在住です。それぞれ最寄りの空港はセントレアと、成田または羽田。

そして今、私が向かっているのはセントレア

そこで連れが待っているのか?わざわざ名古屋まで来てくれたのか?

いいえ、違います。

連れは成田からヘルシンキへ向かい、私はセントレアからヘルシンキへ向かう。合流するのはヘルシンキ・ヴァンダー空港。

そう、エクストリーム現地集合です!

 

ここに落ち着くまで、少々揉めました。

Q.成田発セントレア着またはセントレア発成田着の飛行機にして、各々の交通費負担のバランスを取りつつ、同じ飛行機に乗れるようにするのはどうか?

A.旅費が乏しいので、発着地を同じにして、リーズナブルなリターンチケットを利用したい。申し訳ないが、協力してほしい。

Q.ヘルシンキ空港で待ち合わせなんて、初めて行く場所だし、もし会えなかったら?

A.私は前に行ったことがあるから構造を知ってるよ。それほど大きくない空港だし、分かりやすい待ち合わせ場所を指定するから。すれ違ってしまっても、空港内はフリーWifiが使えるので大丈夫。

Q.飛行機に乗るのも初めてだから、なんだか不安。

A.行く時は日本発だから、分からないことがあったら空港スタッフに聞けば教えてくれるよ。ラッキーなことに帰りの便は途中まで一緒(セントレアまでは同じ便で、連れはそこで乗り換えて成田へ)だし、外国でのチェックイン手続き等は任せたまえ。

Q.入国審査で質問されたら、どう答えればいいの?そもそも英語が分からないし。

A.旅行の目的と、滞在日数くらいしか聞かれないよ。「サイトシーング」と「セブンデイズ」を覚えておけばいいと思う。日本人はあまり厳しく調べられないし、どうにもコミュニケーションが取れないと呆れて通してくれるよ。

Q.長時間、飛行機に一人で乗るの寂しいよ・・・

A.それぐらい自分でなんとかしろ。

まとめると以上のようなやり取りの末、しぶしぶ納得してもらったのです。

 

ただでさえ心細い思いをしている連れに、取り急ぎ飛行機の遅延を伝えなければいけません。

本来であれば、私の便は11時55分発の15時10分着、連れの便は11時30分発の15時着の予定でした。

あまり時間のずれもなく待ち合わせできるはずが、2時間遅れとなると、かなり待たせてしまうことになります。

どうやら、連れの方は定刻通りに出発するらしい。

「じゃあ、空港を探検して時間をつぶしてるね」

という意外にあっさりした返事にほっとして、こちらもセントレアで暇をつぶすことにします。

デッキに出て飛行機の発着を見たり、新しく開店したショップをチェックしたり、空港内の両替所を回ってレートを比べてみたり。(何銭かの違いですが、出国ゲートのチェックインカウンター近くにある両替所のレートが一番良かったです。※自分調べ)

でも時間余るわー。

暇を持て余して、ご飯を食べてしまったのは失敗でしたね。搭乗して1時間くらいで一回目の機内食が出ましたから。お腹いっぱいだったけど残さず食べました。意地汚いので。

 

どうにか2時間を過ごして、ようやく出発です。

席はトイレに近い壁際の通路側。フィンエアーは事前に席を指定できるので、席を倒す時に気を使わないでよく、なおかつトイレに行きやすい場所を選択しました。

隣にはどんな人が来るのかしら・・・ものすごい巨漢とか、セクハラ野郎でなければいいけど、とソワソワしていると、現れたのは外国人のお兄さん。ひょろりと背が高く、かなり若そう、学生さんかしら?

はにかみつつ、「OK?」と聞いてきます。

「Yes, please」微笑みを返します。

腰を下ろしても、感じよく笑顔でお礼を言うものの、こちらに積極的に話しかけてくる様子はありません。

アメリカ人ではないな・・・という偏見に満ちた予想を立てました。

しかしこの青年、めちゃくちゃコーラを飲みます。というかコーラ以外の水分を取ろうとしない。機内食にはお水が付いてくるのですが、手を付けません。

そしてフライトアテンダントさんが通るたびに「Coke, please」

おいおい青年よ、ちょっと飲み過ぎじゃないかい?君のことはミスター・コーラと呼ばせてもらうよ。

「ヘイユー、『わたしの血はコーラでできてるの』なんて言い出すんじゃないだろうね?HAHAHA!」

と小粋なジョークもかましたくなります。

(ああ誰かに言いたい。今この瞬間に産声をあげて、人知れず消えていくジョークが浮かばれない。とはいえミスター・コーラに話したところで受けはしないだろう。まず川島直美の説明からしなければならないからだ。)

モヤっとした気持ちを抱えたまま、「あなたは本当にコーラが好きなのね」という優しい笑みを浮かべる私。えへへ、そうなんだ!的に再びはにかむミスター・コーラ。

うん、やっぱり君はアメリカ人ではないね。※ノルウェー人でした。

こうして伝えられて満足です。成仏しました。

 

 シートベルト着用サインが消えた後、ミスター・コーラがタブレットを取り出します。デカいヘッドホンを付けて、動画を見ながら音楽を聞き始めました。

チラ見からの、二度見をしました。

ミスター・コーラよ、液晶ひび割れすぎじゃない?

「蜘蛛の巣状」とはまさにこのこと。

しかもこれほど繊細な蜘蛛の巣は、根気と熟練の技を持つ職人の仕事であろうという、芸術的ですらある出来ばえです。

ていうか見えてるの?見にくくないの?ミスター・コーラ(気に入ってる)。

やきもきしながら見守っていると、ACケーブルを取り出してキョロキョロし始めました。

充電がしたいのだね?

ミスター・コーラはこちらを見て、「充電したいから、コンセント使ってもいい?」と尋ねてきます。

先だって、フライトアテンダントに告げられた「コンセントは一つしかないから、共有して使って下さいね」というお願いを踏まえているのでしょう。

好青年です。

こころよく「Of course, please use it」と答えます。

彼もニコニコして「Thank you」と言い、席の間にあるコンセントに手を伸ばします。

ごそごそごそ。

おお、このフレンドリーな空間よ。

ごそごそごそ。

ずいぶん下にあるようで、一生懸命手を伸ばしています。

ごそごそごそ。

手を伸ばしています、手を伸ばしています、手を伸ばして・・・

遅くねーか!?

ミスター・コーラも焦っているのでしょう。耳が真っ赤です。

こういう時は、焦れば焦るほど上手くいかないものなのです。

あら、あきらめた。

見かねて声をかけました。「Can I try it?」(ちょっと貸してみな?)

おそらく彼は隣に座るレディに遠慮して、ガツンと奥まで手を突っ込めなかったのであろう。オラオラ感満載のガサツな手つきでプラグをつかみ、コンセントを探り当てる私。

「I did it」(やったわよ)

「Oh!」喜びに目を輝かせるミスター・コーラ。

頷いてサムズアップ。

おお、この一体感よ。

ただACプラグをコンセントに差し込んだだけなのに、偉業を成し遂げたような気分です。

 

それからは、ぼつぼつと会話するようになりました。

日本に友達がいて、何度も来ていること。

学生ではなく、すでに働いていて、今回は3週間の休暇を取って日本に滞在していたこと。さすが北欧。

18歳という若さには「ベりーやんぐ・・・」と驚かされました。

日本ではどこへ行ったの?ノルウェーのこと教えて?など、けっして口数が多くはないミスター・コーラから様々な話を聞き出し、彼からは、私が復習していたロシア語について聞かれたりして、楽しい時間を過ごしました。

けっきょく、「あんた、どんだけコーラ好きなんだよ!糖尿には気をつけろ!」とは言えずじまい。

 

機内食を食べたミスター・コーラは眠ってしまい、話し相手がいなくなったので映画を見ました。

寄生獣 完結編」です。

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寝落ちしました。私は山崎貴監督と相性が悪いみたいです・・・

原作コミック「寄生獣」の大ファンだから、物足りなく感じてしまうのかもしれません。前編と後編で4時間分あるとはいえ、だいぶカットせざるを得ないですものね。

ピックアップするセンスが監督と合わないんでしょう。

コミックは名作です。ぜひ読んでみて下さい。

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機内食はビーフORフィッシュでした。チキンではなく。

ビーフを選んだらハンバーグでした。お蕎麦と抹茶プリンも付いて、ほんのり和風。

美味しかったです。

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 もう1回、機内食が出たのですが、その時はお腹が空いていたので写真を撮るのも忘れてむさぼり食いました。食べ終わってから「あっ」と思う失敗を、旅行中何度も繰り返すのでした。

 

ヘルシンキに到着すると、飛行機が2時間遅れたせいでノルウェーへの乗り継ぎ便がギリギリになってしまったミスター・コーラは、駆け足で去って行きます。

さわやかな笑顔で手を振ってくれました。

それはいいから、急ぎなさいな。

 

 入国審査は前回来た時よりも厳しくなっていました。近年の世界情勢を反映してのことですね。

「どこの国へ行く予定なのか?」「何日間滞在するのか?」「ロシアへの移動手段は?」と、次々と聞かれます。

この前は、質問なしでパスポートにスタンプを押すだけだったのに。これでもまだ緩い方なんでしょうね・・・

入国ゲートを通ってロビーに出ると、新しくきれいになっていました。

空港の拡張工事をしたことは知っていましたが、かなり様変わりしています。

着いたよーとLINEを送り、ゲートを出てすぐの左の場所にあるキオスクの前で待つことしばし。バックパックを背負った連れが現れました。

思えば2月に会ったきりで、顔を合わせるのは10ヶ月ぶりです。無事に現地集合できた安心感もあり、がっつりハグを交わしました。

「やっと会えたね」という言葉を飲みこんだ自分を褒めてあげたい。

 

空港からヘルシンキ市内へは、フィンエアーシティバスで向かいます。

だいたい20分間隔で運行していて、空港からヘルシンキ中央駅まで30分くらいです。

運行スケジュール、バス停の場所、料金はこちらのページに詳しく書かれています。(英語サイトです)

http://www.finnair.com/go/2016.4-47/documents/PDFs/FINNAIRAIKATAULU_1115_WEB.pdf

他にも列車とか市バスとか、交通手段の選択肢はありますので、旅のスタイルに合わせてご利用下さい。

こちらをご参照下さい。(英語サイトです)

Train, buses and taxis / Finavia

大きなスーツケースを持っている場合には、荷物置き場のあるフィンエアーシティバスが便利かもしれません。

 

とうとう次回から、本格的な旅が始まります。

旅の準備~〈Be prepared〉備えよ常に!

12月にフィンラドとロシアに行くんだよ、と話すと「いいなー」と言われるのと同じくらい、「でもすごく寒いよね?」と言われます。

うん、知ってる。

フィンランドの12月の気候は、場所にもよりますが平均最高気温でも0℃以下、非常寒い日には-40℃になることもあるそうです。

参考サイト:フィンランド政府観光局ホームページ

冬のフィンランドを快適に楽しむ服装のコツ — VisitFinland.com

いっぽうロシアは広大な国土を有するため、細かな気候区分で分類すると10以上の気候に分かれています。

今回の旅先であるサンクトペテルブルグでは、12月の平均最高気温は2℃、平均最低気温は-16℃だそうです。

こちらのサイトでは、ロシアの1週間予報と服装についてのアドバイスが掲載されています。

ロシアの気候と天気|世界の天気&服装ナビ | 地球の歩き方

 11月のヘルシンキには行ったことがありますので、北欧の寒さは体で知っています。

アウターや暖かインナーはしっかり準備していったのですが、うっかりニットキャップを持っていくのを忘れてしまい、頭皮の毛穴から忍び込む冷気で凍死するかと思いました・・・

ゆえに、まずはとにかく防寒対策です。

ユニクロヒートテックにコットンのカットソーを重ね、その上にウールのセーターを着て空気の層を作り、熱を逃がさないようにします。

アウターはモコモコボアの裏地付きフリースジャケットに、ひざまで届く長め丈のダウンコートを重ね着します。

首回りを温めるのは大切ですからスヌードを巻き、もちろんニットキャップも忘れずに。フリースの裏地付き手袋をはめます。

ボトムもボア裏地付きコーデュロイパンツを履き、アンダーに遠赤外線スパッツと、これまた遠赤外線ソックスで冷気をシャットアウト。

靴はといえば、防寒も必要ですが、雪が降るシーズンのため防水&すべり止めも大事です。

ウィンターブーツといえば、カナダ生まれのSOREL(ソレル)。

レザーのアッパーとラバー素材のボトムソールを組み合わせ、断熱性抜群のフェルトライニングというシューズインナーは、着脱可能だから洗濯ができて、清潔さを保つことができます。

ブランドロゴのホッキョクグマが可愛いんですよ。

ソレル 公式サイト - Sorel

欲しいな、と思ったけど、ややお高い。ブーツとしてはそれほどでもないのは承知していますが、8月に病気で寝込んでいたため働けず、旅の資金に乏しい身としては少々痛い出費です。

そこで、ものすごく似てる感じの別のもの、いやパチモンじゃないんだよ、ノーブランドだけど確かな品質の、無印良品的なものなんだよ、というスノーブーツを購入しました。

Amazon | (トドス)todos ビーンタイプ スノーブーツ TO-123 レディース 02.キャメル S(22cm~22.5cm) | ブーツ・ブーティ

こちらのLサイズ(24~24.5センチ)です。

私が普段履いている靴のサイズは23.5センチですが、厚手の靴下を履くことを考えてワンサイズ上を選択しました。

 

これだけ備えれば万全だろう、とお思いでしょう。

はいバッチリでした。むしろ暑かった!

途中からスヌードと手袋は外してました。セーターを着なかったり、遠赤外線スパッツを履かなかったり。でも全然平気でしたね。

滞在していた時期に、たまたま冷え込みが厳しくならなかったのはラッキーでした。

実際にお出かけになる際は、突然な天候変化に対応できるよう、私が準備した服装を参考にしてご用意下さい。

 

1週間の旅行ですから、着替えは3日分を用意しました。

セーターは3枚、ボトムは1本だけです。インナーと下着は洗濯して着回します。

ちなみにパンツは、以前から試してみたかった紙パンツを使ってみました。

ドミトリーに泊まることだし、他人の目に触れる場所でパンツを干すのもな・・・というギリギリの恥じらいが理由の一つです。

そしてもう一つ、大きな動機がありました。

 「北海道が生んだスター、旅のカリスマ、大泉洋さんとお揃いの格好がしてみたい」

念のため、ご存知ない方にご説明します。

いまや全国区のスターになられた大泉洋さんは、もともと北海道のテレビ局、HTB(北海道テレビ)が制作した深夜番組、「モザイクな夜V3」に大学在学中に出演し、芸能活動を開始しました。

その後、同番組の制作チームにいた藤村ディレクターが立ち上げた「水曜どうでしょう」で人気に火が付いたのです。

水曜どうでしょう」は、大泉洋さん、大泉さんの所属する事務所の社長兼タレント兼映画監督兼放送作家であるミスターこと鈴井貴之氏、時に出演者の二人より目立っているキャラの立ちまくった藤村忠寿ディレクター、このチームの良心でありながら天然のうっかりミスもかます萌えキャラ嬉野雅道ディレクター兼カメラマン、以上の4人が文字通り行き当たりばったりな旅をする番組です。

旅番組の概念を根底からひっくり返して爆破したあげく、地獄の業火で燃やし尽くしたような、伝説のバラエティです。

メチャクチャ影響を受けました。DVDボックス持ってます。どうでしょう手帳使ってました。

番組内では、1から6までの数字が割り当てられた選択肢があり、サイコロを振って出た目に従って行動をしなければならない、というルールがあります。

基本的には、彼らは北海道に帰るのを目的としているのですが、選択肢には「飛行機で札幌」が現れることはめったになく、だいたいが「深夜バスで〇〇(とんでもない遠方が多い)」の目が出てしまい、12時間とかバスに乗らざるを得なくなります。

深夜バスに乗った経験のある方は分かると思いますが、けっこう辛いです。

今時はシートがリクライニングしてフルフラットになるバスもあるそうですが、彼らが乗るのはごく普通の長距離用バスです。

しかも2日連続して深夜バスに乗ったりもします。

想像するだに大変そうですが、まさしく番組内で徐々に壊れていく様子をまざまざと見せつけられます。

そんなサイコロの旅の中で、最高傑作との呼び声が高いのが「サイコロ3 ~自律神経完全破壊」です。

この旅のさなか、大泉さんが紙パンツを着用した姿を披露されるのですが、未見の方のために詳細は語らずに置きましょう。

よろしかったら、ご覧になって下さい。

大泉さんの雄姿に憧れる私の気持ちに激しく同意していただけるか、正気を疑うかは、あなた次第です。

水曜どうでしょうDVD第4弾『サイコロ3~自律神経完全破壊~前編/後編 完全版』 | HTBオンラインショップ

ずいぶん話がずれました。

紙パンツの履き心地は普通でした。100円ショップで買いましたので、ご興味があればお試し下さい。

さて服装が決まったところで、持ち物です。

洗面道具&メイク道具

バスタオルはかさばるので、ちょっと大きめくらいのタオルとフェイスタオルを2枚

体を洗う用に手ぬぐい1枚。すぐ乾くので便利です

石ケン。私はシャンプーもリンスも使わない派のため、普段使っている石ケンを持っていきました

洗濯用の粉洗剤を二重にしたジップロックに入れたもの

たたんでコンパクトにできるハンガー(1個)

100円ショップで買った南京錠タイプの鍵(3個)。これはドミトリーのロッカーを施錠するのに使いました

ビニールのスリッパ。飛行機内やホテルの室内履きとして使いました。シャワーを浴びる時に脱衣場がなかったので、多少足が濡れていても問題ないビニール製のものがよかったです

胃薬&痛み止め(出番なし)

折り畳み傘(出番なし)。季節的に雨が少なかったというのもありますが、日本とは雨の質が違うので、わざわざ傘をささずともフードをかぶってしまえば平気でした。そしてロシアの雪は、日本の折り畳み傘で防げるようなものではなかった・・・

デジカメ

乾電池(デジカメ用)

変圧器(実は要らなかった)。フィンランドの電圧は220/230V 50HZ、ロシアの電圧は220V/50HZ、どちらもプラグはCタイプです。今回はパソコンを持っていかなかったので、iPhoneを充電するためだけに変圧器を準備しました。しかし、もともとApple社の純正ACプラグは、100~240V・50~60HZに対応する物だったのです!つまり変換プラグだけ準備すればよかったんですね・・・

ちなみに変換プラグは数百円、変圧器は数千円です。私はけちって安いのを買ったので、プラグが差し込めず使えないという悲劇に見舞われました。

現地のプラグの差し込み口が、ことごとく引っ込んだ形になっており、変圧器のボディ部分が大きすぎて突っかかってしまって届かない、という悲劇です。

 

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ちなみに↓が購入したものです。欲しい人は連絡ください。あげます。

amzn.to

iPhoneの予備バッテリー

モスクワ・サンクトペテルブルグ(ララチッターヨーロッパ)。かなり活用しましたが、実は図書館で借りたものを持っていきました

amzn.to暇つぶし用の本(読まなかった)

旅の指さし会話帳 フィンランド(一回も開かなかった)

amzn.to

旅日記を付ける用の無地メモ帳(事前に、これまで勉強したロシア語の単語や文章、数字などを書き留めておきました。これがすごく役に立った!)

シャープペン&ボールペンが合体したペン

こんなところでしょうか、並べてみると多くはないですね。

これらをバックパックに詰めました。バックパックは、父が登山用に使っていたものを拝借しました。60リットルくらいのサイズだと思います。

その際、着替えはかさばるので100円ショップで買った圧縮袋に入れて収納しました。

わりあいスペースに余裕があったので、お土産を買った帰路の荷物も全部入れることができました。

さすがに機内持ち込みは出来そうもなかったので、持ち込み&街歩き用のサブバックも用意しました。

あと大事なのはお金ですね。

やはり現金を持ち歩くのに不安があったため、デビットカードを作りました。

デビットカードは、預金口座と紐づけられた決済用カードです。

金融機関が発行するカードで、クレジットカードとは違い、使用すると口座に預けてあるお金から即座に引き落とされる仕組みです。

つまり口座にお金を入れておかないと、カードは使えないのです。使い過ぎを防ぐにはいい手だと思います。

また現地のATMから、その国の通貨でお金を引き出せるのも便利です。

なぜわざわざデビットカードを作ったかというと、私はクレジットカードを持っておらず、そして現在は浮き草稼業のフリーライター。今からクレジットカードを作れるとは思えませんでした。

半ば無職の独身女性に世間の風当たりは当然冷たい。カード審査通らなかったよ・・・という同業者の嘆きの声を何度か聞いたことがあります。

すっかりブルった私は「未成年でもOK!審査なし!」のキャッチに魅かれ、デビットカードにすがりついたのでした。

肝心なものが残っていました。パスポート。

写真の掲載されている面をコピーしておくのをお勧めします。

ホテルをチェックインする時にパスポートナンバーを書くことがあるのですが、いちいちパスポートを取り出すより、コピーを財布にしまっておいたり、どこかにメモしておくといいです。

万が一パスポートを紛失した時に、コピーが手元に残っていると手続きがスムーズに進みます。

詳しくは、こちらをご参照下さい。

国内及び国外でパスポートに関する申請手続きに通常必要な書類 | 外務省

 

必要最低限にしたつもりですが、もっと絞れるかもしれませんね。

 装備をすべて揃えるまでに、連れから何十回LINEが来たことか・・・

「どんな服がいいと思う?」「カバンって、これでいいと思う(画像付き)?」「お金て、どれくらい持っていけばいいの?」「ホステルにパジャマはある?」

いや分かるよ、初体験を前にして不安になるのは分かる。でも毎日なにかしら聞いてくるのはどうだろう?めんどくさい彼女か!

という言葉を飲みこみ、粛々と準備を進めるうちに、出発の日は近づいてくるのでした。

次回、やっと旅立ちます。写真もガンガン載せていきますので、ご期待下さい。

 

追伸

始めたばかりのブログを、ぼちぼち読んで下さる方がいて、それだけでも嬉しいのに「はてなスター」で応援して下さる方までいらっしゃいます。

まだシステムに疎いので、どのようにお礼を伝えたらいいのか分からないのですが、ありがとうございます!これからも楽しんでもらえるように頑張ります!

旅の準備~ホテルを確保しよう

正直に言うと、ホテルにこだわりはありません。

それなりに清潔で、それなりに安くて、それなりに便利であればいい。

たしかに高級ホテルは素敵です。

泊まったことはないけれど、物見遊山でサミット会場になったこともあるホテルのカフェに行った時、立地・外観・調度品・スタッフ・お食事のどれも隙がなく、居心地がいいこと、この上なかったです。

滞在するのが楽しみになる、そんな場所でした。

しかしそこが、私のニーズとずれているんですね。

旅をしている間は、ずっと町にいます。

観光スポットを回るのもいいけれど、その土地に住んでいる人の暮らしに混じるのが好きです。

散歩して、お茶飲んで、たまに観光して、また散歩して、ご飯を食べて。ホテルにいるのは寝る時くらいです。

だから最低限の快適さがあればいい。いいホテルに泊まっても、魅力を味わえないからもったいない気がするんです。貧乏性なんでしょう。

だから「寝るためだけ」みたいなホテルを利用することが多いです。

しかし、日本のビジネスホテルみたいな感じのものって意外とないんですね。

日本でシングルルームに泊まるくらいの価格帯だと、たいてい部屋にバス・トイレがなく、ほとんどが共同です。

バス・トイレ付きの部屋になると、ポンと値段が跳ね上がります。

シャワーのためだけに、プラス〇千円を出す気にはなれない・・・

というわけで、しばしばホステルを選択しています。

「ホステル」といっても、浮かれたアメリカン大学生がどえらい目に合う、イーライ・ロスの映画みたいなことは起きないので、安心して下さい。

なんのこっちゃ、という方は以下のURLをご参照あれ。

Amazonのレビューを見るだけで、どういうストーリーか分かります。

流血ドバドバブシャブシャなゴアシーンてんこ盛りの、エログロ残虐サディステック・スリラーのため、非常に見る人を選ぶ作品ではありますが、後味はそんなに悪くないと思うの・・・けっこう好きです

amzn.to

今回の旅行スケジュールは、フィンランドヘルシンキで2泊して、ロシアのサンクトペテルブルグで3泊してから、戻ってきてまたヘルシンキで2泊です。

ロシアはルーブルが暴落していた時期(2015年12月時点で、1ルーブル=1.3円くらいだったと思います)であり、あまり安すぎると設備に不安があるため、高めのホテルでもやむなしと考えていました。

いっぽうフィンランドはというと、北欧はホテルが高いので有名です。

物価が全体的に高いのだからしかたないのですが、実情は少し違っていて、食料などの生活必需品は案外リーズナブルです。東京と変わらないか、少し安いくらいな場合もあります(乳製品とか)。物によって税率が異なるので、嗜好品ほど価格が高くなります。

ホテルは嗜好品のくくりに入るのか、西ヨーロッパと比較しても割高です。

しかしながら、実はヘルシンキで泊まる場所はほぼ決めていました。

前回フィンランドを訪れた時に利用した「ホステル エロッタジャンプイスト」が、私の条件を十分に満たしてくれるところだったからです。

Home - Diana Park

ヘルシンキ中央駅から徒歩15分くらい、ワンフロアにシャワーは3カ所・トイレは4か所あり、めったに混まないし清潔、共同キッチンは広くて掃除が行き届いており、大きな冷蔵庫と電子レンジ・電気ケトルを備えています。調理器具と食器もたくさん準備されているから、スーパーで食材を買って調理することもできます。

もちろんフリーWifiも利用できます。電波状態は良好で、スピードも速いです。

スタッフは親切で、チェックアウト後にも荷物をあずかってくれます。

お値段もシングルなら7000円ちょい、今回は二人ですからツインで9000円を切るので、よりお得です。

この価格で、これだけの条件を満たすところは、なかなかありません。

連れに海外のホテル事情を説明しつつ提案してみたところ、「一度ドミトリーに泊まってみたい!」と言うではありませんか。

なにしろこれが初めての海外旅行ですから、むやみに気合が入っています。なんでも体験してみたい、だそうです。

 えー、大丈夫かな?と賛成しかねる私に、自転車で日本一周したことあるから、野宿も民泊も経験してるし、とグイグイきます。

 ホステルだからドミトリーはあるけど、宿泊費も3000円ちょいに抑えられるから助かるけど、本当に大丈夫?

ドミトリーは二段ベッドを並べた共同部屋だから、平気な人は平気ですが、無理な人はとことん無理っていうのを、これまで何度も見てきたのです。

しかも連れは、ほとんど外国人と交流したことがない、英語も少ししか話せない人です。

いきなり放り込まれて適応できるのかな・・・?

人によるけど、ガンガン騒いだり、音楽かけたり、パーティ始まったり、レアケースだけど夜のお姉ちゃん部屋に呼んじゃったりするよ。

その度に、ちゃんと止めてほしいって自己主張しなきゃいけないよ。言えばわりと素直に対応してくれるけど、空気を読んではくれないぜ。

心配なのもありますが、それでストレスをためてダウナーになられたら、気を使うのが面倒くさいじゃないですか。

うーん、と検討することしばし・・・ま、いっか。やってみれば。考えてもしょうがないもん。

こればっかりは、身を持って体験してみないと分からないのです。

日本にいる時はコミュニケーション能力が高くて、好奇心旺盛で、どこでも寝れるよって言ってた人でも無理だったりするし、私みたいに週に1回くらいしか外出しない、人と話さない、新しい出会いとかめんどくさいっすわ―な人が平気だったりする。

じゃあヘルシンキ4泊はドミトリーで、と決定。

途中で3泊挟むサンクトペテルブルグは、ドミトリーじゃなくツインに泊まろう、相部屋に疲れてたら、そこでひと息つけばいいよね、というスケジュールにしました。

 

ホテル探しに使ったのが、Booking.com(ブッキング・ドットコム)というサイトです。

国内も海外も!ホテル・旅館の予約はBooking.com

「世界最大の宿泊予約サイト」と謳うだけあって、掲載されているホテル数が豊富です。

割引率も高く、タイミングによっては半額くらいになったりするのが面白いです。

ホテルが運営しているサイトから直接予約するより、安くなっている時もあります。

予約するのにデポジット(前金)が必要ないホテルは、ユーザーがバンバン仮押さえをするので、今日は満室で予約できなくても、数日後にはポッと空きが出たりする、ちょっとしたギャンブル感もあります。

行き先またはホテル名を入力し、チェックイン&チェックアウト日を選択して、宿泊人数を入力して検索します。

検索結果を、当サイトおすすめ順・料金の安い順・ホテルランク・中心地/施設からの距離・クチコミのスコア、でそれぞれ並び順を変えられます。

私はここで「El Rooms Apartments」を予約しました。

モスクワ鉄道駅から徒歩5分、ツイン3泊2人分で約9500円、140件近く付いているクチコミは、10点中9.6点。読んでみると、ものすごく評判がいいです。

ちなみに日本語でのクチコミは1件だけで、私が書いたものです。もしかして、初の日本人宿泊客なんでしょうか・・・

圧倒的にロシア人利用者が多いのも、なんだか信頼できる気がします。

バス・トイレが共同なのが不安要素ですが、クチコミによると広くて清潔らしい。オーナーはホスピタリティにあふれ、いつでも連絡できる携帯を無料で貸してくれるとのこと。英語も堪能だというし、コミュニケーションは問題なく取れそう。

結果、ここに決めて大正解でした!

最初にたどり着くまでは迷ってしまいましたが、道が分かれば確かに徒歩5分。すぐ近くに23時まで開いているスーパーと、24時間開いている薬局があります。

マンションのワンフロアを改装しているから部屋数は多くないものの、バス・トイレは二つあります。しかも片方はバスタブ付き。シャワーのみの方は、本当に広々。

私たちが泊まったのが12月15~17日というオフシーズンだったためか、他に宿泊客がいなくて、のびのび使えました。

外観から想像できないほど内装が可愛くて、テレビと冷蔵庫・電気ケトルを備えています。室内を十分に暖めてくれるパネルヒーターは、洗濯物を乾かすのにも便利でした。

嬉しかったのは、浄水済みのウォーターボトルを置いてくれていたこと。ロシアの水道水は飲めないことはないですが、旅先でお腹を壊すのは辛いので安心できました。

またサンクトペテルブルグに来る時は、ここに泊まります!おススメです!

 

さてホテルが決まったし、後はのんびり出発を待つばかり。

かと思いきや、海外旅行初心者の連れから、持ち物や服装について雨あられの質問を浴びせかけられるのでした・・・

次回は、持って行って便利だった物、冬のロシアの服装はどうすれば?などをお伝えします。

 

補足

サンクトペテルブルグなのにモスクワ鉄道駅という記述に「?」と感じた方もいらっしゃると思います。

ロシアの駅名の付け方は独特で、目的地が駅名になっているのです。

サンクトペテルブルグを出発して、モスクワに着くから「モスクワ鉄道駅」。

もちろん、フィンランドに着く「フィンランド鉄道駅」もあります。

私たちはヘルシンキサンクトペテルブルグ間を鉄道で移動したので、フィンランド鉄道駅を利用しました。3時間半くらいで国境を越えられるのが不思議な感じです。