バトルinエジンバラ、からの棚ボタでラッキー
ちゃらっちゃっちゃちゃちゃ~らら~ちゃ~ら~(『世界の車窓から』より)
この部分しかメロディを知らないから、5分もループすればさすがに飽きる。
ロンドン、キング・クロスを出発した列車は、エジンバラへと向かっています。BGMとともに、石丸謙二郎の「次は、ダーリントン駅に止まります」というナレーションがかかります。あの人、実は意外とマッチョでSASUKEにも出てたのよね・・・
「ダーリントンの町にはさー、ダーリンがいっぱいいそうだっちゃ」
思いついたことを、まったく脳内の検閲を通さずに口にする私に、姪っ子が(この人はもしかしてバカなのだろうか)という、茫漠とした不安にかられた視線を投げかけている気がします。
暇をもてあました神々ならぬ私は、車窓を眺めながらぼんやりと心に移りゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくったりします。
普段は日記を付けないのですが、旅の間だけはいつも記録を付けるのです。数カ月もすれば、案外と細やかなことや、その時の気持ちは薄れてしまうから。
私たちはどんどん流れていく。
グレートブリテン島を北上してきて、海辺の町に着きました。Berwick Upon Tweed、列車に乗らなければ、知ることはなかっただろう場所。
海の色が濃い。遠くに小さく灯台が見える。
やがて列車はエジンバラ駅に到着しました。なんだか広くて近代的でびっくり。
エジンバラはスコットランドの古都というイメージを持っていたので、もっと古式ゆかしい駅舎なのかと思っていました。
しかし駅を出ると、そこはかとなくヨーロピアン。
写真の下部に見えている三角形の骨組みは駅舎の天井です。
ちょうどエジンバラ・フェスティバルの真っ最中だったせいか、町はかなり賑やかな雰囲気でした。ホテルが旧市街寄りにあったため、細い急坂な路地をいくつも抜けていきました。裏道好きとしてはたまらないシチュエーションです。
情緒のある街並みなのですが、ひざの悪い母はかなり難儀しておりました。
さほど迷うこともなくホテルに着いたものの・・・大問題が発生。
なんと2泊分予約したはずが、1泊分しか取れていないというのです!
オーマイガー。
フロントの兄ちゃんいわく、「今日は18日だろ?だから18日チェックインの19日チェックアウトの分しか予約は入ってないよ」とのこと。
この時、あれ?今日って17日じゃなかったっけ?と思ったけど、日付変更線を越えてきたため、ここまで強気に出るからには自分が予約を間違えてしまったのではと思い、いったん引き下がりました。
とりあえず部屋に荷物を置いて、冷静になって考えてみようと思ったのです。
しかし調べてみても、やっぱり今日は17日。ホテル予約サイトのBooking.comでもしっかり2泊分予約が取れているのを確認できました。
これは、あの兄ちゃんが勘違いをしているに違いない。
そう思った私は、気合いも新たに再びフロントに向かいます。
私「あなたはさっき、今日は18日だって言ったけど、今日は17日ですよ。だから17と18日の予約が取れているはず、もう一回調べて下さい」
フ「(パソコンをカチャカチャしてから)いや、君の予約は17日だけだよ。この日しかないんだ」
そう言って、8月17日の予約が印刷された紙を見せてきました。
私「さっきは18日って言ってたじゃん」
フ「そんなこと言ってない」
その紙をじっくり見て、より調べるために持っていこうとしたら、すぐさま奪い返されました。
・・・この野郎。
言った言わないの応酬があり、これではらちが明かないので、Booking.comの予約確認画面を見せて、「ほら見て。17日と18日の予約が取れてるでしょ?あんたが間違えてるだけだって。ちゃんと確認してよ」と訴えました。こっちもだんだん語気が荒くなってきてるよ。
命令形でしゃべっちゃうんだから!「Check the list again!」
フロント周りにいる人々も、怒りをあらわにする日本人が珍しいのか、けっこうジロジロ見ています。
フロントの兄ちゃんは「いくら調べても予約は1泊分だけだよ、Sorry」と話を打ち切りました。
もうこれ以上、どうする気もないという空気がビンビンに伝わってくる。
このフ〇ッキンスコティッシュめ!などなど、口に出したら国際問題になりそうな罵倒の数々が胸にこみ上げるのを押さえつつ、「んなこと言ったってどうしろって言うんだよ、この使えねー〇〇〇〇(とても公にはできないダーティーワード、意味が分かる相手に言ったら殴り合いのケンカになる)野郎め」と日本語でつぶやくのみとしました。
内容はしっかり伝わらずとも文句を言ってるのは理解したようで、向こうは少々怯み、横で聞いていたらしき気の良さそうなお客の兄ちゃんはちょっと引いてた。
とにかく、降ってわいた緊急事態に対処しなければなりません。
慌ててネットで付近のホテルの空き状況を調べましたが、なにしろエジンバラ・フェスティバル開催中、リーズナブルなホテルは軒並み満室です。空いてても1泊7万円とか、13万円とかするところばかり。
無理でしょ、これ詰んだ?もうこの中で一番安い7万の部屋に泊まるしかないのか?と血の気が引いた時、1駅離れた場所にあるホテルに空きを見つけました。しかも今泊まっているホテルと値段が一緒だったのです!
オーマイガー。
即行で予約を取り、どうにか翌日の宿を確保できました。とはいえ、実際に次の日にホテルで鍵を渡されるまで、ちゃんと取れてるか不安でしょうがなかったけど・・・
結果的に、別のホテルにして大正解でした!
最初に泊まったホテルは
セーフステイ エディンバラ (イギリス エディンバラ) - Booking.com
エジンバラ駅から近く、観光にも便利です。近くにスーパーTESCOもあり。部屋は2段ベットが2つ置いてある4人部屋を3人で使っていました。
バス・トイレ付なのは助かりますが、その他は最低限の設備だけで、そこそこの値段の割に良くはないという印象でした。もちろん悪くはないです、清潔だし全体的にきちんと整えられています。多分、フロントとの相性の悪さが影響しているのでしょうね・・・
あとは代わりに取ったホテルが、値段が変わらないのに良すぎたせいもあります。
驚くべきことに、部屋にはシステムキッチン(オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、調理器具付)、食器洗浄機、アイロン設備があり、トイレ・バスも広い!
トイレに大きなパネルヒーターがあって、洗濯物を乾かすのに役立ったのもよかったです。
インテリアもモダンで素敵だし、姪っ子は「こういう部屋に住むのが夢だったの!」とうっとりしてました。
ステイシティ アパートホテルズ エディンバラ ウェスト エンド (イギリス エディンバラ) - Booking.com
ここはエジンバラ駅から1駅離れたHaymarketが最寄りです。3分くらい乗ればすぐ付いちゃう、鈍行の駅なのかな?というこじんまりした佇まいでした。
駅の真ん前の通りはこんな感じで、人気もあまりなく静かでした。
エジンバラ城まで歩いて15分で行けますので、実は便利だと思うのですが、少し中心部から離れるだけでこんなに違うんだなと思いました。
ちなみにフロントの人もすごく親切でした・・・
こういうのは、巡り合わせですもんね。エジンバラにはまた来たいので、次回は最初からステイシティ アパートメントホテルズに泊まります!
それにしても本当に代わりのホテルが見つかってよかった。
私1人だけだったら、雑魚寝の安いホステルにもぐり込んだり、どうしても見つからなければ、ホテルのフロントや朝まで開いてる店で夜を明かすこともできますが、年寄りと子供連れですものね・・・ラッキーでした。
さて、当面のホテル問題が解決したところで、気持ちを切り替えてエジンバラをぶらぶらすることにしました。
なんのかんの揉めているうちに時刻は4時を過ぎていましたが、空はまだ明るい。特に目的のないお散歩に出かけました。姪っ子はホテルに残って夏休みの宿題をやるからとお留守番。頑張ったけど、旅行までに終わらなかったそうです。
町は完全にお祭りモード。人の流れに沿って歩いていたら、ロイヤル・マイルと呼ばれる、エジンバラ城からホリドールハウス宮殿までの道に出ました。
遠くに見えているのが聖ジャイルズ大聖堂です。賑わっております。
パブ?カフェ?もなかなか盛況。やはり渋い建物&鮮やかなお花の組み合わせは最高。
「観光地にありがちな名所写真ポストカード」が大好きな母が、さっそくポストカードをディスプレイした店に引き寄せられていました。
同じような店はたくさんあるのですが、どこも1枚ずつのバラ売りではなく、3枚で〇ポンド、とか5枚で〇ポンド、のようにまとめ売りしてました。店によって品ぞろえが微妙に違うのはもちろん、価格も1ポンドで5枚だったり3枚だったりしますので、じっくり吟味してお買い求めください。
エジンバラ城方面へ坂を上っていくと、母からのリクエスト「タータン・ウィービング・ミル&エキシビション」がお城の手前右側にあります。
スコットランドを発祥の地とするタータンチェックに関して、歴史の展示あり、製造工場の見学あり、ショップありと地下2階から地上2階まであって楽しめます。
ところどころに羊がいる、かわいい。
この日はサラリと流し見して、翌日姪っ子も連れてきてがっつりお買い物しました。
来た道を戻り、また店をのぞきながらホテルに帰る途中、ふと入った店でチェック柄バレエシューズに一目惚れ。しかもご記憶でしょうか、8月中旬はバーゲンセールまっただなか。1足19.99ポンド(約3000円)でした。こういう値段の付け方は万国共通なのね。
なかなかお値打ちじゃないですか。まずは試着してみることに。
近くにいたお兄さんに「May I try it on(試着してもいい)?」と聞くと「Sure!」というお答え。
ニコニコしながら横で待機してるわ、プレッシャーが・・・
「How is it(どうだい)?」
「It's a little small, do you have a bigger one(少し小さいです、もっと大きいサイズはありますか)?」
お兄さんはいくつかサイズを出してくれましたが、欲しい色のサイズはなく、色違いのものを買おうかしらと悩んでいると、「ここにはないけど、通りをずっと奥に行くとタータン・ウィービング・ミル&エキシビションっていう大きなショップがあるんだよ、そこならサイズはあるかも。そこで欲しい色を探した方がいいよ」と教えてくれました。
なんていい奴なんだ!その店知ってる、さっき行ったよ!
分かった、行ってみるね、と伝えると、お兄さんはやっぱりニコニコしながら「Good luck!」と言ってくれました。君のとこでは買ってないのに、ナイスガイやわー。
ホテル問題でテンション落ちてたのが、上向きになったよ。ありがとう。
明日もエジンバラに泊まるんだし、今日は疲れたからもう帰ろうという話になりホテルへ。
私はまだ歩き足りないけれど、母はすでに歩くのが辛いという。とはいえ母1人ではホテルまでの道は分からない、けっこう方向音痴なのだ。「似たような建物ばっかりだから」というが、うーん、まあ、ねえ。
どうやら道案内&通訳係の務めは予想していたより重そうだと、この辺りからうすうす思い始めました。
ホテルに戻ると姪っ子は休憩中。窓の外は遅い夕暮れが訪れようとしています。
暗くなる前に、夕ご飯を調達するため近所のTESCOへ行きました。誰も、どこかレストランで食べようとは言い出しません。祭で浮かれまくっている人々に溶け込む元気がなかったのかも。
まあ明日があるさ、旅は始まったばっかりだから。
漏れ聞こえるバカ騒ぎを子守り歌に、エジンバラの夜は更けていくのです。
次回はエジンバラ2日目、これでもかとばかりに満喫です。
では。