カーディフうろうろ歩き~前編 歴史のかけらに思いをはせる

あけましておめでとうございます。

とっくに松が明けたどころか、もう1月も終わりだとは承知しております。

でもまだギリ1月なのだから、年始の挨拶から始めさせていただきます。

礼節を重んじる教育を受けているのですよ。

昨年はコツコツと撒いてきた種がめでたくも芽吹いてくれたので、2019年は小さな芽を育てていく年にしたいと思っています。

皆様にとっても楽しく過ごせる1年でありますように。

それでは新しい年にふさわしく、一人旅となってあらたな気持ちで迎えたカーディフの朝からお話を再開します。

気持ちのいい晴天に恵まれ、カーディフで一番という口コミにふさわしいメニュー豊富な朝食をいただいてから、とくに目的も決めずふらりと出かけました。

ホテルの目の前を流れている川沿いを歩いていると、可愛らしい犬を連れたロングヘアのイケメンと遭遇しました。陽光に透けるブロンドの神々しい美しさよ・・・

「Hi」と当り障りのない挨拶をかわし、さらに進みます。

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太陽は輝き、川はゆるやかに流れ、世はなべてこともなし。

f:id:mikawayaemi:20190129203934j:plain橋の下をくぐると、草の繁茂した土手があり、登ってみたら移動遊園地がありました。

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洋画&ドラマ好きにはたまらない、移動遊園地・・・心躍らせると同時に不穏さも隠し持つ非日常の空間です。

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一人で入るのもなーと思い、通り過ぎてしばらく歩くと赤い橋が見えてきました。

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あてどもない散歩なので、なんとなく渡ってみました。

すると緑に満ちた公園に出て、ふらふらさ迷ううちに、小さなストーンヘンジを見つけました。

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柵はなく、誰でも近くで見ることができる。それどころか若者が上に乗ってご飯食べてた。そのうち昼寝をしだしたよ。

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ソールズベリにある有名なストーンヘンジとは扱いがずいぶん違う・・・

こんなカジュアルでいいんでしょうか?ちょっとしたベンチ扱い。

そういえばケズィックにあったストーンヘンジも無料で中に入れる&触り放題だったので、案外そこらじゅうにあるものなのかも?

これも要調査です。

公園を抜けたら市街地に出ました。

カーディフ城のすぐ近くだったから、見学することにしました。

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カーディフ城は城壁にいろいろな動物の像が飾られているのが有名ですね。猫派としての使命感から撮らずにはいられなかったニャンコ。

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他にもたくさん種類があって楽しいですよ!

軽く流すつもりで入りましたが、博物館もついていてかなり興味深く、事前に歴史の知識を仕込んでいたらもっと楽しめたのになと思いました。

解説付きのツアーもあったので、英語力をアップさせて再訪したいです。

ちなみに入場料は大人13ポンド(約1900円)、プラス3.35ポンド(約500円)でツアーガイドが付きます。

最新情報は公式サイトをご確認ください。

Cardiff Castle

ゲートを抜けると視界に飛び込んでくる、メディアやガイドブックなどでよく見る天守閣の跡。ノルマン人によって12世紀に建てられた要塞だそう。

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てっぺんまで登ると、なかなかいい眺め。外側から見ていたよりも高さがあります。

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天守閣の内側は、今は中庭のようになっています。

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階段は狭く急で、皆譲り合いながら上り下りしていました。たいてい家族連れかカップルなので、「あ、一人なんだ!?」という表情を頻繁に浮かべられていた気がする(被害妄想かもしれない)。

こちらは貴族の邸宅跡です。内装がすごく美しく、ガイドさんを頼めば詳しく説明してくれます。

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細部まで手が込んでいてため息が出る。

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壁に掛けられているのはウェールズの紋章なのかな?

たしかウェールズは赤いドラゴンじゃなかったっけ・・・黒い方は獅子に見える。知識不足が情けない、調べたいことばかり増えていくよー。

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庭を望むステンドグラスが光を透かして綺麗。貴族気分をほのかに味わえる気がします。

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この奥は立ち入り禁止でした。ガイド付きツアーだと入れる場所もあるらしい。

次こそは・・・!

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図書室もありました。しかも読んでもいいらしい。ときめきが止まらないわ。

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輝かしい英国の歴史にうっとりしつつ邸宅を後にして、博物館に足を踏み入れると、一転浮かれ気分をぺしゃんこにされます。

いきなりの兵士の装備品。ガスマスクが展示されているので、第一次世界大戦から毒ガス兵器が使用されるようになったのよね、と思い出す。

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そうそう、第一次世界大戦では馬も重要な機動力だったよね、スピルバーグの「戦火の馬」で見たよ。

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機関銃の横に並べられた、戦没者を悼むポピーの花輪が痛ましい。

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日本軍の装備品も展示されていて、そういえば第二次世界大戦では敵国になったのよね・・・と思い知らされたりする。

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お好きな方には知的好奇心が満たされる大興奮の場所なのでしょう、残念ながら私はミリオタの資質に欠けるので、ただただ薄暗い気持ちになってしまうんですよね・・・

それほど大きな施設ではありませんが、充実の展示がずっしり腹に来るので満足感を味わえます。

戦争関連の展示はこれだけではありません。

お城を取り巻く城壁の内部は通路になっていて、防空壕として使われていたそうです。

入口から土嚢が積まれていたりして、不穏な雰囲気を盛り上げてくる。

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中は暗く、静か。

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かと思えば、突然にバーが現れたりする。戦時下でも人は飲み食いするし、酒は美味い。それもまた人間らしさってやつよね。

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壁に貼られたチャーチルの写真に、2本の映画を思い出します。

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1本は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

(実はこの邦題があまり好きじゃなくて、原題の「Darkest Hour」の方がしっくりくると思うんだ)

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チャーチル首相がドイツとの和平ではなく徹底抗戦を選択し、フランスの港湾都市ダンケルクに取り残された兵士を救出するダイナモ作戦を決行するというストーリー。

アカデミー主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンの演技は素晴らしかったし、メイクアップ&スタイリング賞を受賞した辻一弘さんの特殊メイクはもうすごかったけど、映画では描かれなかった史実を知っていると、都合よくはしょった部分が気になってしまう作品でもあります。

ちなみにこの年に作品賞を受賞したのは「シェイプ・オブ・ウォーター」です。

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この作品を私は愛してしまっており、作品をイメージしたオリジナルグッズを作ってしまったほどです。

美しく、あやうく、まさに水のように、生の煌めきへも死の暗がりへも導くような愛についての物語です。

あらすじを語ると大切なものがこぼれ落ちてしまいそうな気がしますので、あえて触れずにおきます。よかったら見てください。

もう1本は「ダンケルク

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こちらはダイナモ作戦を兵士の視点から描いた作品です。まあとてつもない映画でした。

特にラスト近辺でチャーチルの有名な演説「We should never surrender(我々は降伏しない)」が流れるのですが、同じ演説が流れる「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」との対比がすさまじく、巷で「これはセットで見るべき映画だ」と言われているのもうなずけます。

結果的にイギリスは戦勝国になったけれど、一兵士にとっての戦争は、無慈悲かつ理不尽な災害なのだと伝えてきます。

 一人ひとりの死は砂粒のように小さくとも、それが降り積もることによって勝者と敗者を選別する天秤が傾く。

今は観光地になっているかつての防空壕を歩きながら、「戦争とは、人間とは・・・」と物思いに沈んでいたところ、出口付近で私を追い抜いて行ったお嬢さんが、一緒に来ている家族を驚かせようと曲がり角で待ち伏せしていたものの、私が先に来てしまい、「わっ!!」と驚かせた後で間違いに気づいて、すごく恥ずかしそうにしていたのが可愛かった。

「Sorry・・・」て真っ赤になってたよ。

後ろでご両親と弟さんが大爆笑していたわ。こういう笑いは万国共通だね。

おかげで明るい気持ちで外に出ることができました。

余談ですが、博物館に入るとすぐにスタッフからベラベラベラっと何かを聞かれます。

あれは「ここに来たのは初めて?」と聞いてくるのがほとんどなので、簡単に「Yes」か「It is the first time for me to come here.(ここに来るのは初めてです)」など答えるとよいです。次いで、順路などを説明してくれます。

広い前庭の芝生にポンと展示されていたギロチンに、子供たちが群がっていました。

次から次へとギロチンに首と手を突っ込み、笑顔で写真を撮る人々の合間を縫った1枚。

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カタパルトもありました。背後にいる人たちと比べると、どれだけ大きいかわかります。

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今は風雨にさらされて、血なまぐささが洗い流された戦争と処刑の道具を眺めながら、時の力はあまりに強く、私たちは濁流のはざまでつかの間きらめく、川面のまたたきのような存在なのだわと思ったりする。

その輝きは、遠くにあれば美しくも見え、近過ぎれば目に痛い。

そうやって編まれていく。

中世から近代へをギュッと凝縮して見ることができたから、いつになく歴史に思いをはせる機会を得られた。貴重な経験でした。

朝からみっちりカーディフを味わった1日だったので、いったんここで区切りますね。

次回は午後編、カーディフ国立博物館カーディフベイ、さらにちょっぴり危険をかいま見た夜の街をご案内します。

2月中に更新したいな、いや、する。

では。