チェスターぶらぶら歩き~前編 街にも人にも時は流れる

チェスター2日目の朝。今日は一日街を観光です。

イギリス国内で最も人気があると言われているチェスター動物園に行こうかという話も出たけど、500エーカーという広大な敷地(なんと東京ドーム約43.46914個分!)を歩き回る体力が母と姪っ子にはないこと、オンラインで安くチケットを買っても16.36~23.63ポンド(約2329~3364円)とそこそこ高額なこと、という理由により今回は見送りました。

1人なら行ってたけどね・・・私という案内役なしに2人だけで観光をするのは難しそうだったのもあり、あきらめました。

でも次回は絶対行きます!

チェスター動物園の魅力は何かというと、やはり動物の展示施設や放飼場に檻も柵もなく、堀や水路が使われていて、より自然な姿を見ることが出来るのです。

開園から閉園まで丸一日いても、きっと飽きない・・・しかしそれはコアな動物好きだからこそであって、そんなに興味のない人を付き合わせるのも申し訳ないなーというのもあったのです。

チェスターの街自体もよかったし、必ず再訪します!

www.chesterzoo.orgTESCOで買ったクロワッサンなど食しつつ、ぼんやり決めたプランは

①チェスター大聖堂を見る

②フィッシュ&チップスを食べる

③バーゲンセールでお買い物

の3本です。

まずは街の中心部にあるインフォメーションセンターで地図&パンフレットをゲット。

表紙はチェスターならではの黒い木枠がイメージされた、レトロで可愛らしいデザイン。

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中身は街の地図と、歴史についての解説やガイドツアーの申し込み先など、観光に役立つ情報が詰まっています。

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これで2ポンドくらいだった気がする・・・紙質がしっかりているし、記念としても資料としても手元に置いておけるのでお勧めです。

インフォメーションセンターには、この他にもブックタイプの観光ガイドもありますので、お好みと予算に応じて選べるのが楽しいです。

こちら、1階にインフォメーションセンターが入っている建物です。目の前が広場になっており、大道芸の人がいたりして賑やかな雰囲気。

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向かいには、街のランドマークともいえるチェスター大聖堂がそびえています。

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大聖堂前には赤いポピーの造花で作った花輪が供えられていました。

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イギリスでは、赤いポピーは戦没者への追悼の意を表す花とされています。

その由来は、イギリス連邦に属するカナダの医師であり詩人でもあったジョン・マクレーの詩「フランダースの野に」にあるそうです。

第一次大戦に軍医として従軍したマクレーは、最大の激戦地となったフランスのフランドル地方に赴き、大学教授時代の教え子の死と直面します。そして、遺体を埋葬した際に目にした、戦火によって荒廃した大地に無数に立ち並ぶ兵士たちの墓と、咲き乱れる赤いポピーの花という光景をもとに一編の詩を編んだのです。

  フランダースの野に ポピーの花がそよぐ

  幾重にも並ぶ十字架の間に

  僕たちの場所と印された地に

  ひばりは今も 勇敢に飛んで歌う

  砲音の轟く中 その声はかき消されても

  (ジョン・マクレー作 『フランダースの野に』より)

作者自身もまた、その後に戦死したそうです。

興味を持たれた方は、詩の全文をネットや書店などで探してみて下さい。いたましくも、美しい詩です。

イギリスでは、第一次世界大戦の休戦日にあたる11月11日を英霊記念日と制定しており、同大戦以降のイギリス軍が関与したあらゆる戦争及び紛争の戦没者を追悼する日としています。

毎年11月になると赤いポピーの造花を胸に付けた人々をあちこちで見かけられるようになるのですが、私がイギリスを訪れたのは8月末でしたから、大聖堂に赤いポピーが供えられていたのは意外でした。

ポピーの花輪はまだ真新しく、そういえば8月は第2次世界大戦が終わった月だったなと思いました。

あるいは、違う戦争で命を落とした人たちに捧げられたのかもしれません。今もどこかで戦争は続いており、誰かが亡くなっているのですから。

大聖堂の中は静かで、照明も限りなく絞られているため、ほどよく暗く、自然光を透かすステンドグラスの輝きがいっそう映えます。

つたない写真では素晴らしさを伝えられないのが残念ですが・・・

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以前に聞いた話によると、教会で聖書の教えを図像化したステンドグラスが用いられているのは、かつて文字を読めなかった信者にも分かりやすく内容を伝えられるようにすること、また視覚的に天国を疑似体験させる効果があるためだそうです。

確かに信者ではないどころか、無神論者の私でも胸を打たれずにはいられない荘厳な雰囲気でした。

絵を描くことが好きで、最近は美術に興味を持っているらしい姪っ子は

「きれい・・・来てよかった・・・」とつぶやいていました。

そう思ってくれて、本当によかった。

世界は自分の頭の中よりも広く、とてつもなく美しいことも、とてつもなく残酷なことも、どちらも起こりうるんだと、私たちはその狭間を揺れ動きながら生きているんだと、知ってもらえたら嬉しいと考えていました。

彼女と同じように10代の女の子だった頃、自分のいる世界が狭いことも、出て行こうと思えば行ける外の世界があることも、そのためにはどうすればいいかも、分かっていませんでした。

あの時にそれがあれば、もっと楽に息ができたであろう小さな窓を姪っ子にあげられたなら、こんなに喜ばしいことはないなと思うのです。

姪っ子の成長に思いをはせつつ、しんみりしていたところ

「ねえねえ、あれはなに?」

と聞かれました。

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「パイプオルガンじゃよ、教会音楽には欠かせない楽器じゃよ。バロック期にオルガン文化は全盛を迎えたんじゃよ」

「へー。あれは?」

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「キリストの誕生を祝いに訪れた東方の三博士じゃよ、聖書にもあまり詳しくは書かれていないんじゃよ」

「へー。あれは?」

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「神父様がミサで聖書を読む時に置く台じゃよ、じゃっかんの厨二感を匂わせているような気がするが、こっちが本家なんじゃよ」

「へー、そうなんだ」

姪っ子や、君は私を簡易ウィキペディアか何かだと思っていないかしら?

「どこを撮っても絵になるねえ」

「そうだねえ」

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ぐるりとひと回りしたところで発見した、レゴで製作するチェスター大聖堂(途中)

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これ設計とか作業の手間を考えると、気が遠くなるわ・・・

レゴブロックのイベントが開催中らしく、子供たちがレゴで遊べるブースがありました。ちょっとやりたかったけど、大人だから我慢。姪っ子は「別に」だそうです。もー、思春期まっただなかめ!

そういえば、いろんなガイドブックや旅ブログでお馴染み、各国の言葉で書かれた「チェスター大聖堂へようこそ」を見ましたよ。

一番上にある日本語のやつ、「そこでスペース開けるかね?」な書き方にニヤニヤしてしまった。

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あ、忘れてましたがチェスター大聖堂は入館料無料です。ただ寄付は募っていますので、お気持ちに応じた金額を募金箱へどうぞ。

また、併設されたギフトショップはなかなかの品ぞろえでした。ゴシックテイストの入ったアクセサリーや文房具、インテリアグッズなど、見ているだけでも楽しく、姪っ子は大喜びして自分用のお土産を買いこんでいました。

私が購入したのはこちら。英国王室の歴史豆知識を400話つめこんだ本です。愛憎ドロドロ&血みどろエピソードてんこもりで、かなり面白い。

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ショップには英国の歴史に関する書籍を置いた一角があり、第一次大戦・第二次大戦時の豊富な写真資料が収録されたものもあったりして、いろいろ迷った末にこれに決めました。セールで10ポンドだったし。

次に行く時には、ごそっと買いこんじゃおうかな。

ちなみにショップのすぐ近くにトイレがあります。けっこう広くてきれい、無料なのが嬉しいです。こういうトイレは本当に貴重なので、機会を逃さずに入っておきました。

大聖堂を出た後は、お腹も空いてきたことだし、広場に面したお店でフィッシュ&チップスをいただくことに。

オープンテラスでこじゃれた感じの店構えで、けっこうお客さんが並んでおり、期待は高まります。

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カウンターで注文してから、席に座って待っていると持ってきてくれるシステムでした。

内装も可愛いね、とこの時点では我々は浮かれていた。

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そして届けられたブツ。

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なかなかのサイズ感です、幅20センチくらいあったような。ケチャップとマヨネーズは有料です。でも付けないと無味なので、忘れずにもらって下さい。

勘のいい方はお察しの通り、おいしくなかったです・・・

油でギットギトで、衣がべちゃっとしてて、ものすごく胃にもたれます。

アンブルサイドで食べたフィッシュ&チップスがおいしかっただけに、ガッカリ感がハンパない。

「これはあきませんな・・・」

「ですな・・・」

とテンション低くもさもさ食べ、案の定残し、足取り重く店を出たのでした。

でも外に出ればお日様ピカピカだし、とりあえずお腹は満たされたし、街中セールで70%OFFの景気のいい赤札が貼られまくってるし、おりゃっ!!と気合を入れ直してバーゲンハントに挑むのでした。

可能であれば、バーゲン時期にイギリスに行くのをマジでお勧めします!

旅の間がシーズンど真ん中で、エジンバラからロンドンまで南下しましたが、どこの街でもだいたい70%OFFに値下げされていました。

ここまで大胆な値下げ率は日本ではあまり見られない気がします。あってもバーゲン終わり頃の、いいものがもう残ってない時とか。おかげでかなりお安くいろいろ買えました。

ピアスをいっぱい買いこんだお店で、店員さんがラッピングをしてくれながら「ラ~ブリ~❤ラ~ブリ~❤」と歌うように唱えていたのが印象的でした。

姪っ子との間で店員さんのモノマネがしばらく流行りましたね。すごく特徴があったので。今でもやってしまう。

「Lovely」はイギリスでよく使われるカジュアルな褒め言葉ですね。老いも若きもよく口にします。「いいね」くらいの感じでしょうか。

「Nice」とか「Fine」よりポピュラーみたいです。

お買い物の後は、2人で町ブラして、疲れたとホテルに帰った姪っ子と別れてさらに1人でお散歩を続けました。

少し長くなるので、いったん切りますね。次の更新はなるべく早めにしたいです。

では。