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「どうやって英語を話せるようになったの?」と聞かれると困る

ことば

ブログタイトルが「旅とことば」なのに、これまで「ことば」についてあまり触れてなかったので、今回は「ことば」編です。

翻訳の仕事をしたり、海外を一人でふらふら旅したりしている話をすると、しばしば「どうやって英語を話せるようになったの?」と聞かれます。特に私が帰国子女じゃなく留学経験もなくて、独学で身につけたと知ると興味の度合いが倍率ドン。

この質問、すごく困ります。なぜなら非常につまらない回答しか返せないからです。

ただコツコツ地道に勉強して、文法を理解し、英単語を覚え、リスニング力をつけるため継続的に英語を聞いていただけです。コツも近道もない。たいてい「へぇ・・・」と相手のテンションも下がります。当たり前すぎて申し訳ない。

聞かれるたびにそんな感じなので、「つまんない答えですみませんけど」と必ず前置きを入れるのです。

だいたいさー、聞いてるだけでOK!とか、〇〇日間だけで話せるように!とか、〇〇ワードだけ覚えれば使いこなせる!とかインチキだから。そんな上手い話はないですよ。英語の勉強を本腰入れて始めてから10年以上、到達したいレベルにはまだまだ遠いです。というか、やってもやっても果てのない、終わりの見えない道なのですよ・・・

もちろん旅行で困らない程度であったり、ビジネスで使えればいというなら別です。目標とする到達度は個人の設定次第です。人生の時間は有限ですから、他にも楽しいこといっぱいありますものね。

しかし私は語学マニアですから、ひたすら荒野を行くのです。

当面の目標は英語をさらにブラッシュアップして、ロシア語をトラベル会話からもう一段階進めつつ、スペイン語とドイツ語をトラベル会話レベルに持っていくことです。実はアラビア語もやりたいんですよねー。

やりすぎかな?あたまおかしいのかな?と思わないでもないですが、自分は止まらない列車に乗ってしまったわけで・・・ブレーキはとっくに外してしまったわけで・・・最近友達になったウクライナ人の子にロシア語を教えてもらうという、本人は問題ないよーと快く了解してくれたけど政治的にはアレな感じの貴重な機会を得たので、今後めきめき実力をつける予定です。

さて「ことば」編を書こうと思ったのは、よく聞かれる上記の質問をつい先日も受けまして、その時に「どういう人生をたどると英語を話す人になるのか?」&「使ったテキストでお勧めを知りたい」と聞かれ、それなら答えやすいと気づいたからです。

そういえば私も、同業者に留学してた?と聞いてしまうわ。

やはり独学派は珍しいです。聞いてみた範囲では翻訳業には留学派が多いです。帰国子女派は語学専門よりも外資系企業や、日本企業の海外部門にいることが多いですね。

英語を言語として探究するタイプと、道具として使いこなすタイプの違いだと思います。あとは他言語を日本語に変換する場合には、元の言語の知識に加えて、日本語の知識もかなり高いレベルで必要とされるため、言語を獲得する幼い頃に海外で過ごす帰国子女にはやや不利な面があるのも影響しているのかもしれません。

じゃあ独学派の私はどうだったかというと、中学・高校と英語は特に好きでも嫌いでもなく、得意でも苦手でもなく、という感じでした。高校生の時は理系クラスにいたので、授業数もそれほど多くなかったです。

とはいえ昔から外国のドラマや映画が好きで、「英語がしゃべれたらかっこいいなー」というぼんやりした憧れはありました。

一番最初の海外ドラマ体験は「アーノルド坊やは人気者」でした。アーノルドのお兄ちゃんのウィリスが好きだったんですよね、クールだけど優しくて面白くて。今にして思えば、白人の家庭に黒人の兄弟が養子として引き取られるって、人種差別問題を取り込んだ挑戦的なドラマだったんだな・・・。

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NHKの夕方枠で繰り返し放映していた「フルハウス」にはアメリカンファミリーのイメージを刷り込まれましたし、

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「アルフ」

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天才少年ドギー・ハウザー

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「ブロッサム」

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などなど、夢中になって見ていました。高校時代は「ビバリーヒルズ高校白書」にはまって、ディランの物まねをめちゃくちゃやってましたね。「どうしたんだいブレンダ~」と眉をしかめ、できるだけ額にしわを寄せるようにして細かく首を振るという、基本似てないんだけど雰囲気と顔力で持っていくやつでした。

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だけど田舎の高校生にしたら、外国は宇宙と同じくらい遠い世界で、英語は受験のために勉強しなきゃいけない面倒くさいもの、の域を出ませんでした。

それに変化が起きたのは大学に入ってからです。専攻科の専門書を原書で読む必修の授業があり、1年間嫌でもみっちり英語を読む経験をしたおかげで、少しだけ英語を身近に感じられるようになったのです。

また語学の選択授業で人生で初めてネイティブ講師の講義を受け、彼らがとても人間的だったことから「この人たちは英語で語り、考え、悩んだり、恋愛したりしてるんだな!」と感覚で理解できたのも、壁をとっぱらうきっかけになりました。

さらにアルバイトで家庭教師を始め、生徒に質問されて「分からない、ごめんなさい」で終わらせるわけにはいかないので、改めて文法をしっかり勉強せざるを得なかったことが、徐々に英語のレベルを上げていきました。

だからといって、まだビジネスの現場で使えるほどではありません。学校で英語を教える先生がペラペラに話せるかというと、そうとも限らないぞってのと似てますね。

大学卒業後、塾講師を経て地元の公的機関で派遣社員として働きつつ、家庭教師も続けていた私の正直な気持ちは「この職場は居心地はいいけど正規職員じゃないし、専門機関だから自分が正規に雇用されることはない、そして給料の格差はエグイ」でした。

なんか悔しかったんですよね、若気の至りですが「似たような仕事で高い給料もらいやがってよー」とね、うん。自分が日本の社会における正規ルートから外れてしまっているのは理解していた27歳の春、英語を自分の武器にしようと決めました。

地方都市では、まだ英語を仕事で使えるスキルを持った人材は少なく、あからさまに給与に差がありました。心に澱む悔しさを昇華するために、自分の実力だけでのし上がるゲーム=より給料の高いオファーにどんどん乗り換えていくことに熱中しました。

仕事内容は、英文定型メールを使用してやり取りする事務から、企業内翻訳兼海外業務担当になり、学術論文翻訳&チェックやアテンド通訳をこなせるようになり、外資系企業での仕事を得た時に、ぽすんと燃えつきました。

成果を上げていくのは面白かったけれど、仕事の内容に興味を持ったことは一度もなかったからです。正社員になる道を選ばなかったのも、やりたいと思える仕事が、差し出された多くの選択肢の中には見つけられなかったからでした。

それはまったく遠い場所にありました。

本筋からそれるのでザックリだけ言いますと、実は吉本興業構成作家を養成するコースに通っていまして、卒業後に劇場で働いていた期間があります。ゆえに上記の経歴の間に並行して夜間の養成所通いをし、劇場での勤務のため、かなり仕事を制限していた時期もあります。いろいろあって吉本を辞めた後で、外資系企業に勤めました。

吉本時代にライターの仕事を始め、書くことだけは面白かったから今でも続けています。ずいぶん貧乏になっちゃいましたけど、今のほうが楽しいです。

で、現在に至ります。

思えば、英語を武器に選んだことも、お笑いの道に進んだことも、子供の頃から見続けたアメリカン・コメディが強く影響していますね。

先日のイギリス旅行でコメディ番組を見た時に、ちゃんと理解できるようになっていてすごく嬉しかったです。ぐるっと回って元の場所に戻ったような、不思議な感慨がありました。

そこまで持っていくために、どんな教材を使ったのか?と気をもんでらっしゃる紳士淑女の皆様お待たせしました。おそらく「え?それだけ?」とお思いになるでしょう。

最も役に立ったのは、高校生の時に使っていた副教材「新 英語の構文150」(美誠社)です。

現在は内容も改訂されたものが出版されているようです。

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この参考書は、構文150と銘打ちつつ、もっと多くの文法理解に役立つ文章が収録されており、これ一冊がしっかり頭に入っていれば、読解で困ることはありません。

文法の基礎理論は必ず押さえておかなければいけませんが、日常的に英語を使いこなすためには、ネイティブの感覚を身につけておくと即応力が高くなります。

そこでお勧めするのが大西泰斗さんの「ハートで感じる英文法」です。シリーズが2冊あり、両方を購入して熟読しました。特に会話の中で前置詞を選ぶ時に、非常に助けになっています。内容のわかりやすさと適度な密度だけでなく、イラストがオシャレで可愛く、かつ理解するのを助けてくれます。

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近著に「一億人の英文法」という、より詳細に解説した書籍がありまして、

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近々購入しようと思っていたら、大西先生の公式サイトでサンプル版をダウンロードできたので、まずはそちらを読んでみます。興味がある方は、以下のURLからどうぞ。

ENGLISH@HEART|大西泰斗&P.C. McVay のオフィシャルサイト

大西先生はNHKEテレしごとの基礎英語」にも出演されており、ビジネスシーンに限らず普段の会話にも役立つフレーズが頻出するのでとても助かっています。

ボギャブラリーを増やすためには、「英単語・熟語ダイアローグ」の1200と1800を使いました。読者が興味を持って読み続けられるようなトピックを選んでいて、会話形式で進んでいきます。付属のCDにはナチュラルスピードの会話が収録されており、リスニング対策にも役立ちました。

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お金を出して買ったものは以上です。英会話スクールには一度も通いませんでした。

「英語の構文150」は教科書として渡されたので、感覚としてはもらったものですが、実際には親が買ってくれたわけですから、自腹を切ったのは4冊だけです。

まがりなりにも中学から高校・大学を通して10年以上英語を勉強してきたはずなので、土台はできているのです。アルファベットは読めるし、疑問文の作り方などの初歩的な文法は理解しています。家庭教師の経験から、高校までに学習する内容も把握できています。抜けている穴を埋め、より土台を強固にするために参考書を使いました。

次にやるべきなのは、英語に触れる時間を長くし、読むだけでなく聞く・話すのに慣れることだと思いました。

そこでフル活用したのが、無料で利用できるテレビ&ラジオ&インターネットです。

勉強を始めた頃に一番役に立ったのは、10年以上前にNHKで深夜に放映していた、アメリカの大学の語学研修コースをそのまま流す番組でした。たしかワシントン大学だった気がします。

留学生が大学に入る前に受講する英語コースで、世界のさまざまな国から訪れた学生さんたちが英語を学んでいました。字幕は入っておらず、もちろん全編英語で、いろんなアクセントの英語に慣れるいい機会でした。

最近だと、ネット上のオンライン講座がいくらでもありますね。無料のものも多いですから、自分に合うコースを探してみてください。

私は「Coursera」というオンラインコースを利用しています。人文系から科学系まで揃っていて選ぶのが楽しいです。今は中世の魔法についての講義を受けています。

www.coursera.orgテレビはNHKの語学番組ばかりです。

大西先生が出演する「しごとの基礎英語

しごとの基礎英語 | NHKゴガク

オーストラリアを舞台にした「おとなの基礎英語」、番組内ドラマがかなり面白く、前シリーズが完結した時には、ちょっとウルッとしました・・・

おとなの基礎英語 | NHKゴガク

「ニュースで英会話」も、可能な限り欠かさず見ています。解説のトッド・ルシンスキーさんがVTRが回る前に「Let's get rolling!」て言うのが好き。

ニュースで英会話 - トップ

ビジネスの現場でリアルに使う言い回しであったり、ネイティブが使うカジュアルな表現や、ニュースを通じてホットなトピックスを日本とは少し異なる視点から見られたり、貴重なチャンネルを無料で提供してくれるNHKさんは本当にありがたいです。

がっつり取り組めば、そうとう力が付きます。

もう一つ忘れちゃいけないのが、月曜から金曜の14時~14時半まで放送しているラジオ番組「Japan & World Update」です。

Japan & World Update - NHK

この番組は日本に住んでいる外国人のための英語ニュースのため、日本語講座がプログラム内にあったりします。スピードも容赦がなくて、聞きはじめた当初はうすらぼんやり何を話題にしているか分かるという程度でしたが、耳を慣らすことを第一目的として続けているうちに、少しずつ聞き取れるようになってきました。

現在では、知ってる単語であれば内容を理解できるため、けっきょくボキャブラリーを増やしていくしかないんだよなーと改めて思わされます。

イギリスから帰ってきて聞いたら、前より遅く感じたのが驚きでした。英語だらけの環境に放り込まれるのは、否が応でも人を成長させるんですね・・・

平日お昼の番組ですから、聞けないよという方にNHK WORLD RADIO JAPANのアプリをお勧めします。

NHK WORLD RADIO JAPANを App Store で

上記の「Japan & World Update」が何回でも聞けますし、スクリプトが読めるのもありがたいです。

なんかNHKの回し者みたいですが、提供されるプログラムの質が高いので、どうしても偏ってしまうんですよね。

しかるべきお金を払えば質の高いプログラムは他でも手に入るでしょうけど、せっかく無料で利用できるんだしという庶民の感覚と、長年英会話教室に通っている母が一向に上達していないケースを見ていて「お金を払って教えてもらうのは、案外効果が上がらないのかもしれない」と感じていたので、自然とこうなりました。

なぜ英会話教室に効果があまりないと感じるかというと、これまで母の教室のイベントに誘われて参加した時に、ネイティブ講師とコミュニケーションが取れていないのでは?と思わされる場面を何度も目撃してきたこと、今回のイギリス旅行で母がほとんど現地の人たちと会話ができず、旅の間ずっと通訳に徹したことで、確信&納得しました。

先生とはいえ、教室の生徒はお客さんですから、日本人に分かりやすいように簡単な単語で、ゆっくり話してくれるんですよね。特に母が通っているのは、のんびり英語に親しみましょう、という趣旨のクラスですからなおさらです。でも実際にはそうはいかない。速いし、スラングを使うし、なまってもいます。それが生きてる言語なんです。教室でそれを身につけるのは、かなり大変です。教える側に高いスキルが要求されますし、おそらくコストもかかるでしょう。

私は教室にこそ通いませんでしたが、ある程度勉強をした段階でTOEICを受け、自分のスキルに自信のない頃から、あえて英語を使う仕事に就くようにしました。仕事では「分からない」では済まされないし、とにかくやるしかない、ひたすら実践でもまれるという自分を追い込む方法を取ったんですね。初めて通訳の仕事をした時には、心労で3キロは痩せました・・・

少しずつ難しめの負荷をかけ、じりじりレベルを上げていくのが、自分には合っていました。これは人によるので、プレッシャーをかけられるのが嫌いな方は、マイペースに進めていく方がいいと思います。何事も、ひとそれぞれですから。

そして、気がつくと、悔しさをバネに英語の勉強を始めたあの頃より、世界は広くなっていました。いろんな国に知り合いができて、フットワークは軽くなり、面白いと思えることも増えました。

いつしか英語以外の言語も勉強しはじめ、ますます世界は広がりました。

グローバルとかなんとか言われてますけど、単純に楽しいので、英語じゃなくても興味がある国の言葉を学んでみるのはどうですかという、おすすめで締めたいと思います。新しいことを知っていくのって、やっぱり面白いですよ。

私的な経験ですが、参考になれば幸いです。

では。